九頭竜湖沿いを行き、面谷橋の手前から未舗装の林道へ。
今日のツーリングの目的地へ向かう。
洗い越しというか何というか、小さな流れが道を横切る。
林道では普通のこと。洗い越しは国道だからありがたいのかな。
広い河原に出た。オフロードバイクなら、あそこに下りて行ってブイブイと遊ぶのだろうが、私のは自称へなちょこアドベンチャーバイクである。ゆっくり奥へ。
細かい砂山のような。鉱石を採った後のズリだろうか。とにかく鉱山っぽくなってきた。
川の対岸に、綺麗に積まれた石垣が見える。斜面に沿って何段も。
面谷鉱山跡。
あれが核心部だろうか。
行けるところまで行こうかと思ったが、川が横切っていたので引き返す。
先週の冒険を思い出す。身の丈に合った冒険を。
周囲を少し散策すると、こちら側にも石垣が残り、住居跡の看板が立っていた。
写真を見ると、かなりな急勾配に住居が立ち並んでいる。現代では考えられない。
荒々しい風景をバックに、愛車の写真を撮る。
これがやりたかったこと。旅感出てるか。冒険感出てるか。
もちろん誰もいない。ここをキャンプ地とする。
今日の昼食は、サッポロ一番「塩とんこつ」
うまい。
そしてずっと思っていたのだが、椅子とテーブルを持って来ればよかった。大きなリアボックスには何でも入るのに。
鉱山の核心部は川の対岸なので渡れない。
いや、行けなくはないだろうが、そこまではいい。身の丈に合った冒険を。
最後に写真をもう1枚。
これだけ山が崩れても、石垣は残るものだな。
さぁ、帰ろう。
舗装路まで戻って、九頭竜ダム湖。R158へ。
もう落ちたら死ぬという区間はない。冒険は終わりという感じ。
すると、携帯がピロピロ鳴り、メッセージがいろいろ入ってきた。
冒険の終わりをスマホが感じ取った。…訳ではなく、ここまでずっと圏外だった。
岐阜県最後の集落・能郷の辺りから100km以上、福井県内はほぼ圏外を走っていたことになる。やはり昭和の道だ。
そして間もなく、ブブブ…と、今度は燃料が尽きた。
おお、来たか。燃料コックをリザーブにする。
KSR号の燃費を考えると、走れるのはあと20kmほど。これもずっとGSの無い区間を走ってきたから。
これもあれか、燃料が落ちたら死ぬ、ってことか。
岐阜県に入り、旧道の油坂峠を過ぎると、ずっと下り。ギアをニュートラルにして、惰性で下る。
白鳥の街まで6kmほど燃料を使わずに下りられた。給油して、本当にひと安心。
もちろん出発前に計算してきたのだが、ギリギリだった。
KSR号に大きな箱を付けただけで「これでアドベンチャーバイクだ」などと、1人喜んでいたが、本当のその手のバイクは航続距離も長い。
まぁおかげで、これぐらいでも大冒険になるのだが。
R156で帰る。
長良川ではアユ釣りの人たちが等間隔に並んでいる。
情緒ある風景で、好きな道なのだが、今日の「落ちたら死ぬ」道と比べると、どうも物足りない。
こんなこと言い始めると、いよいよ変態である。
バイクツーリングは、基本1人で行うもの。
冒険の度合いは自分で決めればいい。
さて、山中では標高もあって涼しく過ごせたのだが、郡上八幡で気温34℃、美濃市で35℃。
岐阜市に入っても、もう16時になろうというのに一向に下がる気配が無い。
気温ばかりは「落ちてくれないと死ぬ」だと思わされた。