いよいよ新潟県を目指す。

朝6時出発。

気温低め。防寒用にカッパを着る。佐久は高地。軽井沢はもっと高地。

R146のワインディング。走り慣れた道。まず浅間山を目指す。

1年前に来たのがつい最近のように感じる。

鬼押ハイウェーの直線路。1年前も写真を撮った。今日は雲の中。晴れるんじゃなかったのか。

 

群馬県に入る。

この道は早朝無料なのも1年前に知っている。鬼押出し園。溶岩が迫る。すぐ向こうに見えるはずの浅間山は何も見えず。

 

渋川、沼田の市街地を避け、県道を利用しつつ国道17号に出る。

左はキャベツ畑、右はリンゴの木。R17は左前方の谷を遡ることになる。

 

国道17号は東京から新潟に向かうメインルート。この道で新潟県に入りたかった。それが正式な手順を踏むというイメージがあるので。

「群馬サイクルスポーツセンター」入口の看板。クルマ好きならみんな知ってる「群サイ」。こんなところにあったのか。

赤谷湖。猿ヶ京温泉。新三国大橋。

そしてここは、水曜どうでしょう「原付東日本制覇」で通った道でもある。あれの映像は何度も見た。憶えるほど見た。

よく映画やドラマで使われた場所を聖地というが、原付に乗って旅をする企画であれば、その道中全てが聖地になる。

国道17号のおにぎりで1枚。

 

水曜どうでしょうはジャンプカットでつなぐ編集がされているが、実際走ると意外な長さがある。バイクで走って楽しいワインディングだ。

♪ライディングハ~イ、ライディングハ~イ

「汚れた英雄」のテーマソングを歌いながら走る。

登るにつれて雲が掛かる。標高も1000mを超える。

「どうでしょう」で通ったのも雨の日で、モヤがドラマチックな画だった。

風と寒さと匂いと危険を感じる、とは大泉さんの名言。バイクを知らないはずなのに、ツーリングの本質を表している。

 

道のピーク、県境の三国トンネル入口に着いた。

近くに記念碑があり、それによると開通は昭和34年なので、もう60年以上が経過している。老朽化のため、隣に新しいトンネルが建設され、その新三国トンネルは今年3月に運用が開始されたばかり。

三国トンネルは狭さもネックだったようだ。新トンネルの断面は普通にかまぼこ型だが、旧トンネルは「たけのこの里」に近い形をしていた。危険物トラックは関越道が通れないため、このトンネルを使わなければならなかったが、離合が難しいほどの狭さだったらしい。

 

いよいよ新潟県。

「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった。」

有名な冒頭だが、R17の新三国トンネルは短く、何ということもない。小説「雪国」のように劇的な天候の変化を(逆の意味で)期待したが、重たそうな雲が覆っているのは変わらず。

国境らしく交通量の少ない道をまっすぐ下って行く。

 

そんな「雪国」の舞台だというのに、目の前にいきなりリゾート、苗場が現れた。

巨大なホテル群と背後にスキー場、だだっ広い駐車場。なんだかすげーな。

少し下って湯沢温泉も同じく、右も左もスキー場。大きなホテルが立ち並ぶ。うーむ。群馬県側の景色が鄙びていたので、ギャップが際立つ。首都圏からのスキー客が多いせいだろうけど、風景にバブルっぽい品の無さがある。

それでいて、街とも呼べないような集落にはあまり人の気配を感じない。

R17は旧三国トンネルと同じだろう狭い規格のトンネルがいくつか残っていて、時代錯誤の地という印象を受ける。

 

魚沼盆地に入る。魚沼といえば米。田んぼが広がる。もう刈り取りは終わっている。

南魚沼の道の駅で休憩。左の丘陵地には魚沼スカイラインがあるが、雲が低い位置まで下がっているのであきらめる。無理に行っても真っ白だろう。天気には勝てない。

新潟県は1日中晴れの予報だったのに。

まぁこれも旅か。