黒滝林道を離れ、次の目的地は霊山。見晴らしが良いらしい。

JR草津線に沿うK4で三重県に入る。

山は少し離れて見ないと全景が見えない。県境辺りから見た霊山は緩やかな山容。

 

登山口に取り付く。分岐に「霊山山頂→」の看板。

やや細い林道からすごく狭い山道へ。舗装されているだけでもありがたい。

 

写真では分かりづらいかもしれないが、この道は勾配がきつい。斜面に対し、まっすぐ登る。おそらく30%近いのでは。スロットルを開けてもスピードが出ない。

これほどの坂はあまり記憶にない。四国八十八ヶ所の21番・太龍寺を思い出す。

そりゃ舗装じゃないと。

 

1速固定でゆるゆる登り、アセビとイヌツゲの群生地を抜けると、終点。

道が唐突に終わり、駐車スペース無し。潔い。クルマでは来るなということ。

レーダー無線中継所なるものがある。見晴らしがいい証でもあるか。

 

頂上はカルデラ風の窪地になっていて、石塔が並んでいる。

案内看板を読むと、ここは寺院の遺跡らしい。横に石窟もある。

しかし遺跡らしくない明るい雰囲気。芝生に覆われ、公園と言ってもいい。

 

半周回って山頂。標高766m。

ここから景色を見ろ、と言わんばかりの展望の良さ。

ハイキングコースでもあるが、バイクでも来られる手軽さが良い。

 

そして誰もいないのが良い。

ゆっくりコーヒータイム。

涼しい風と、数匹のトンボ。コーヒーはブラック、カロリーメイトはバニラ味。

山は良い。ここはなぜだろう、歩いて登るのに近い感覚がある。

 

ゆっくり山を下りて、再度、滋賀県へ。旧甲南町。

K132沿いにはいくつか溜池がある。

その県境に近い大沢池。釣り師たちが何人か、ボートを浮かべている。

 

すぐ下の岩尾池までは1kmほど。フラットダートで繋がっている。

その途中に狭いトンネルがあるぞ、という情報。珍しいが、まぁそんなに深掘りしなくてもいいかな。トンネルは趣味にするには暗すぎる。

 

R307で帰る。

途中、ふと右を見ると、西日に照らされたロックフィルダムが見えた。宇曽川ダムだ。

何となく気になって、行ってみる。

水は少ないようだ。展望台からの景色はなかなか良い。

ここは何年ぶりだろうか。むかしむかし、純粋異性交遊(デートとも言う)で来たのを思い出す。私は何も変わっていないらしい。

 

ダム湖の奥にある山比古湧水も見に行く。この湧水は「むかしむかしあるところに…(以下略)」ということらしい。なるほどねー。

その横から永源寺方面に抜ける林道があるのだが、ここはゲートが閉じていて入れない。

最後に堰堤の下にあるダム公園へ。

バイクだけ通れる秘密の通路を通って(←良い子はマネしないように)広場へ。

おかげでダムっぽい写真が撮れて、満足。

 

いろいろ見て回ったが、林道や山の展望というのは、旅のアクセント。

派手なものを見なくても、私はバイクで国道を流しているだけでも楽しい。

KSR号のエンジンは快調で、ハンドリングは思い通り。

空の色、雲の色、ヒガンバナの色、傾いた日の光に照らされたそれぞれの色。

刈り入れの田んぼの匂い、野焼きの煙の匂い。

この国には四季があって良かったと思う。

秋はちゃんと、ある。