この週末は、徳仁天皇陛下の即位を祝う催し物で帝都は盛り上がった。土曜日は民間が主催するお祝いのお祭り、そして日曜日は皇居からお住まいのある赤坂御所までをオープンカーで隊列を組んで進む「祝賀御列の儀」がそれぞれ行われたが、陛下と言えば歴代の天皇の中で唯一ウルトラセブンと記念撮影を行い、変身アイテムのウルトラアイを着用された事で一部のファンには知られている。この歴史的な出来事は11年前の秋であるが、今回はその話題について記していきたい。

 天皇陛下と言えば、齢7つの時にあの伝説のSF研究者として名高い大伴昌司氏が著した「怪獣図鑑」を購入し、そのお買物はニュースとなって陛下が通われる学習院でも翌日の話題になったが、版元の秋田書店も「浩宮さまがお買い上げになられた」と宣伝し、世の親御さんたちも「殿下がお買い上げになられたなら、悪い本ではない」と肯定ムードになり、さらに当時は第1次怪獣ブームでもあった事から相乗効果を得て怪獣図鑑は爆発的に売れ、怪獣は市民権を得た。天皇陛下の母親である美智子上皇后は陛下がご覧になられるテレビ番組を制限していたものの、「ウルトラセブン」は数少ない例外の1つであり、琉球問題や安全保障条約の話などを基にしたストーリーはシステムや侵略、不条理に愛と様々な要素を描き切り、酸いも甘いも噛み分けたきれい事だけではない内容には子供であった陛下も大いに心を奪われたと思う。

 前述のように、陛下がセブンにお会いしたのはまだ皇太子であった11年前の事であった。母校である学習院大学目白キャンパスの中央教室が取り壊される事が決まり(学生たちに愛着があったために、取り壊しには反対運動も起きた。おかげで解体は10年も遅れたという)、その時に陛下が記念の講演を行なった後にこのピラミッド型の校舎でロケーションを行なったウルトラセブンの第29話「ひとりぼっちの宇宙人」の上映とメガホンを執った満田かずほ氏のトークショーと続いたが、陛下は史学館の客員研究員として自らが撮った写真をスライド上映し、幼稚園からここまでの中央教室の思い出を語られたという。陛下は29話を2階席でご覧になり、満田氏とは控室でセブンについての話をされたが、登場人物のウルトラ警備隊隊員の友里アンヌについても「アンヌ隊員、懐かしい」と口にされたそうである。

 控室では前述のようにセブンともお会いし、ウルトラアイを装着して上機嫌でお帰りになられた陛下であるが、お見送りにはもちろんセブンも立ち会ったという。もしかしたら、今後ウルトラセブンの出演者や関係者が園遊会に呼ばれるかも知れないが、そうなればウルトラ級の快挙になるのは言うまでもない。果たして実現できるのであろうか?