大分·姫島村の事については、これまでにここでいろいろ取り上げてきた。クルマエビをはじめとした豊富な海産物やお盆のキツネ踊り、さらに貴重なチョウのアサギマダラが旅の途中で島に寄るなど、食や自然、そして観光と様々な魅力のある場所であるが、その姫島に40年ぶりとなる企業進出が決まったという。

 その前の企業進出は縫製工場であった姫島に進出するのは、現在の世らしくIT企業である。これまでの基幹産業であったクルマエビ養殖などの漁業が下火となったために、県や村が地方創生の一環としてかつての姫島小学校の校舎の理科棟を事務所棟に再利用して企業誘致を行なった結果、お江戸にあるシステム開発を主たる事業とするブレーンネットとウェアアプリケーション開発が主たる事業であるのRuby開発が手を挙げた。それぞれの企業はまず3人ずつを採用してプログラミングを仕込ませ、5年後にはブレーンネットが10人、Ruby開発が15人規模の従業員態勢にするが、ブレーンネット社社長の今井智康氏とRuby開発社長の芦田秀之氏が大分市の大分県庁を表敬訪問した際に、今井氏が「歩いて通勤ができる上に、自然に恵まれた環境で新たな働き方を創出したい」と島で働く事のメリットを交えながら今回の企業進出について語る。

 姫島はこれまで村の職員のお給金を抑えて雇用を増やすワークシェアリングを実施してきたが、この方法は限度が生じてしまう。藤本昭史村長は「ワークシェアも限界があるので、企業の進出はありがたい。UターンやIターンの若い衆を受け入れる企業は地元では重要であり、島を挙げてサポートしていく」と今回のブレーンネットとRuby開発の英断を歓迎した。

 最近はIT企業など様々な業種が、都会から離れた土地に事務所を移して仕事を行うという例が増えている。インターネットが全盛の現在は、地方に拠点を移してもあまり差し支えがないというから、今後もその傾向は続く事であろう。姫島のみならず、いわゆる限界集落を抱える過疎地域にその傾向を増やしてほしいと願いながら、この話を締める事にしたい。