現在の千葉ロッテマリーンズでは、背番号26が永久欠番となっている。これはとくに誰という事ではなく、マリーンズサポーターと呼ばれるファンのための番号というという位置付けがなされていて、球団がこの26番を永久欠番として制定してから今季で10年となった。NPBでは他にも東北楽天ゴールデンイーグルスが背番号10が同様の理由で永久欠番になっているが、こちらも10年前に球団が創設された時に制定されている(故に、選手で10番を着けた選手はいない)

マリーンズでの永久欠番26が生まれるまでには、次のような流れがあった。今から17年前に当時のNPB記録を塗り替える18連敗を喫した時に、マリーンズナインはそれでも応援してくれるマリサポを前に帰宅をためらう事があったが、そんなナインたちにマリサポはロッカールームに届くように「俺たちの誇り」を歌い続けたという。その後も彼らはマフラータオルを使うなど次々とユニークで楽しく、熱い応援方法を生みだしてきたが、その過程で「サッカーのサポーターは背番号12番であるが、野球を応援するファンにもそんな番号があったら良い」という声が上がった。最終的に野球はベンチ全員で戦うもので、ベンチ入りできる選手はNPBでは25人、ならば応援するファンは26人目という事で、マリサポの背番号が26番と決まる。そして、これに合わせてホームでの試合のマリーンズベンチには26番のユニフォームが飾られるようになるが、当然復刻ユニフォームの時も同様である。しかし、かつてのオリオンズの時に着用した腕に縦のラインが入ったデザインのユニフォームが飾られた場合は、拒否感を表すマリサポも多いと聞く。

マリサポやコアな野球好きは、26番が付いたこのオリオンズを「球団の黒歴史」とまで言い切るが、何しろこの番号を背負った小川博は先発右腕としてパシフィック・リーグの最多奪三振を記録(ただし、当時はまだこの項目のタイトル表彰はなかった)した後にコーチまで務めながら、オリオンズを去って以降は一転して日々の生活にも困窮する状態になり、ついには急ぎ働きに手を出して、かつて働いていた職場の女性の生命を奪うというやってはならない事を犯してしまった。当然ながら小川はお縄ちょうだいとなって終生労役というお裁きを受けたが、この件もあっていまだに多くのマリサポは「オリオンズでの26番のユニフォームを飾る事だけは勘弁してほしい」と口にする。そのくらいにあの事件は衝撃的であった。

マリサポならずとも「できればこのユニフォームを飾るのは、永遠に封印してほしい」と思う人は多く、ツイッターでスポーツニッポンの記者がオリオンズ当時の26番の復刻ユニフォームの画像を公開した時も「やめてくれ」とか「思い出したくない」という声が目立ったという。それを考えれば、球団も配慮してほしいものであるが、果たして今後はどうなる事か?