あーやっと読んだよー。
こんにちは、渋谷です。
はい本読んだ。うーん、長くかかったなあー。ま、ここ数日ぼんやりしてたんですけどね。子供の学校始まって。ネイルも新しくして。
美容室は明日ー。いつもより強めにパーマかけてもらうんだ。緩いパーマがかかったロングなんですが、ちょっとファンキーな感じにしてもらうよ。なんかそんな気分。色もいつもより明るくしてもらおうかな。
なんか自由だなと思って幸せな日々です。幸せな今日が幸せな明日を作るのです。とか言って、書いてる小説はぎょっとするようなやつなんだけど。昨日書いたとこで少年が継母とあんなことしてお父さんに刺されちゃったよー。相変わらず作風はエグイ。今日これから書いていくところは、可憐な少女の中に潜む泥の血についてです。人間性はとてものんびりした女なんですが、書き始めるとすぐこんなんなっちゃう。
ま、書いてる間も面白いのでそれはそれでいいかと。で、下村敦史さんの「闇に香る嘘」を読みましたよと。……うーん、これがね、ものすごく社会派の作品でした。
第60回江戸川乱歩賞受賞作です。捻られてて作り込まれてて、面白いんだけどこれを読んで良ーくわかりました。
私って感覚派の人間なのだわ。こういう理詰めで攻めてくる作品って、納得はするんだけど心に残ったりはしないのよねえ……。
非常に複雑なお話の上に、ミステリーなので全容をここで書くのは控えようと思います。というか、複雑すぎて説明し切らん。
主人公は60代後半の盲目の男性です。40代初めで失明し、周りに当たり散らし奥さんに逃げられた困ったおじいさん。東京でひとり暮らしをしています。とても寂しい男性です。
主人公には娘がいますが、この娘にも距離を置かれてしまっています。けれど彼の孫娘は腎疾患を抱えている。自分の腎臓を孫に与えることで、家族を取り戻すことができたらと主人公は願いますが、残念ながら主人公の腎臓は移植に耐えられる健康なものではありませんでした。
主人公の実家は岩手。そこには中国残留孤児だった兄と、年老いた母親が暮らしています。この兄が孫に腎臓を与えてくれたら。そう思い主人公は実家へと向かいますが、兄にはにべもなく断られる。それを主人公は、「この兄は偽の兄で、適合検査をされると偽物であることがバレるから拒否しているのではないか」と疑い始めるのです……。
中国残留孤児。私が子供の頃に、よくテレビで再会の場面が流されていたものです。満州開拓団として中国に渡った人達のうち、敗戦後日本へ引き揚げる最中に親とはぐれるなどし、そのまま中国で育った子供たちのことを指すんですね。
宮尾登美子さんの「仁淀川」では無事に家族三人満州から高知に帰って来られましたが。あの本にも極限状態だった引き揚げの様子が描かれていたなあ。そういう状況下で、もう連れて行けないとなった子供を中国人夫婦に預ける人などが多くいたんだそうです。
そんな状況で母親と共に岩手に帰り付いた主人公。はぐれた兄は後に帰ってきましたが、主人公は兄の変わりように違和感を覚えます。日本人というより中国人っぽい。まあ、中国で育ったんだから当然なんですけど、その疑念が主人公を、兄の正体を暴く戦いへと突き動かしていくのです……。
えーと、まずこの主人公の老人が性格が悪いんですね。ひねた障碍者なんです。盲目であること、それ自体は大変なハンデキャップであるし、ご苦労は私には分かりません。しかしそれにしたってあんまりだ。自分は誰に甘えてわがまま言っても許されるという、妙な信念のもと大暴れをし、結果ひとりぼっちになってしまいました。この孤独な老人の一人称なのが読んでて結構つらかった。
で、テーマが中国残留孤児と不正入国。話が複雑で登場人物も多い。主人公が話を聞きに回る満州開拓団の人もわんさかいるし、「残留孤児の権利を守る会」みたいなとこの人も怪しいし、入管の職員なんか偽者まで現れるし、密航して来た中国人は意味分かんない点字の暗号文を送り付けてくるし、とにかく盛り沢山なんです。
盛り沢山だからこそ、謎は深まり読後にはすべての謎と行き違いが解き明かされてほっとするんですが、ここまで盛ってくれんでも私はいいわあ……。しんどい。主人公が盲目だからこそ成り立つ、テクニック満載のミステリーではありましたが、私が求めているものとは何か違ったねえ……。
そうそう、こないだ夫とこんな話をしたのよ。テレビ見ながら。光浦康子が「外食で7000円以上払うのはなんかヤダ」みたいな話をしてて。それは、「7000円以上払うならいい素材使ってんのは当然なんだから、美味しくて当たり前じゃん。安くておいしい店に行きたい」って意味らしいんだけど。
夫は「そうそう!」って。「原価計算したら大体の値段分かるのに、ボラれてる気がするから高い店には行きたくない。高ければ美味しいものだって、客が勘違いするとでも思ってんじゃないの?」だって。でもさー、私はそれは違うと思うんだよね。どっちが正しいっていうんじゃなくて、感覚の違いなんだけど。
店行って、くつろいで、食べて、店員さんにサービスしてもらって、あー美味しかったってなって、家帰って、寝る前に「今日のお店良かったなあ、いい一日になったなあ」って思う、そこまで含んでの料金だと思うのよ。原価1000円のものに3000円払わされたからあの店はダメだ、なんて短絡的過ぎだと思わない?
……って言ったら、「へええええ」だって。「そういう考え方もあるんやねえ」って。
まあ、理論脳と感覚脳の違いなのかなと思います。大体店行って原価計算なんかせんちゅーの。それより目の前の食べ物で頭の中いっぱいになるっちゅーの。男の人って、めんどくさい世界に住んでるんですね。
そんな感じに理論の渦に巻き込まれた「闇に香る嘘」でした。はー疲れた。次は女性作家のやつ読もう。
というわけで、またっ!