読書感想文121 吉本ばなな TUGUMI | 恥辱とカタルシス

恥辱とカタルシス

作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

BUCK-TICKだよBUCK-TICK。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

もうこのところBUCK-TICK熱が止まりません。中学の時にハマってテープで聴きまくったBUCK-TICK。まさか30年近くの時を超えて今更再ブームの時を迎えるなんて思ってもいませんでした。いやもうこれが良すぎて良すぎてねじ切れそうになってるここ最近。

 

2000年代に入って、バンド的にも低迷期を迎えていたと思うんですよね。それでも活動を続けていたBUCK-TICK。コアなファンはいたかと思いますが、そのころのアルバムって聞き返してみてもちょっと熱が足りないような気がするんですよね。私的には、復活の狼煙が上がったのは2016年の「アトム未来派NO9」からなのではないかと。もう最高。私は離脱期間が長かった人間なので、評論するようなおこがましいことはとてもじゃないけど言えた義理じゃないんですが。全然リアルタイムで活動追ってないし。

 

なんつっても「New World」にハマってしまったんですよねえ。名曲。本当に名曲。何の因果か、こないだすばる文学賞に出した作品のタイトルは「新世界」。New Worldやーん!やっぱりあっちゃん大魔王から逃げることなんて不可能やーん!その上椎名林檎ちゃんとMステ出るしさあ……もう逃げられない。BUCK-TICKに舞い戻ってきてしまったわ。

 

Spotifyで音楽を聴いているんですが、ヘビーローテーションしているプレイリストの内容がこちら。

 

New World

…IN HEAVEN…

BAVEL

駆け落ち者

Future song 

他にも「さくら」とか「美醜love」とか「ICONOCLASM」とか「ゲルニカの夜」とか大好きな曲はいっぱいあるんですが、小説書いててテンションが下がらない曲だけを選んで並べてみています。やっぱNew Worldが一番滾るね。滾る。「BUCK-TICKとかどんなバブルの遺物やねーん!イカ天か!」と思われるかも知れませんが、あの人達進化してるんです。50代にしてMAX。ほんとーに曲も歌詞も歌もあっちゃんも芸術作品だから。あーライブ行きたい。イエモンより林檎ちゃんより今の私はBUCK-TICKやな。櫻井敦司に触れるなら死んでもいい。

 

はあああ……落ち着きましょう。今パソコンの横にスマホ据えてYouTube見てるのね。興奮してしまうわ。この興奮をご存じでない方はぜひYouTubeでどうぞ!公式でPVを垂れ流してくれています。いよっ、太っ腹!あ、そうだ。New World張っとこう。

 

 

 

 

自分が作り出すもので見る人がこんなに喜んでくれたら、それって本当にうれしいことですよね。私もそういう表現者になろう。なろうなろうそうしよう。

 

というわけで、今日は吉本ばななさん。山本周五郎賞受賞作、映画化もされた「TUGUMI」です。

 

 

 

語り部の名前はまりあちゃん。19歳の女の子です。この子が主人公、なのかなと思いきや、彼女はただの語り部。本当の主人公はまりあちゃんの1歳年下のいとこ、つぐみです。彼女は病弱でしょっちゅう床についています。だから弱々しいキャラなのかと思いきや、大間違い。猟奇的なまでに性格の悪い美少女です。映画では牧瀬里穂さんが演じておられました。

 

つぐみのおうちは西伊豆で旅館をしています。まりあちゃん(映画では中島朋子さん)はお母さんと共にその旅館の隣に住んでいるんですね。つぐみの母親とまりあちゃんの母親は姉妹です。まりあちゃんちはお父さんが妻帯者で、謂わば日陰の身。でもお父さんは週末ごとに西伊豆訪れてくれます。なんせこの海辺の情景と、まりあちゃんを囲む人々の人情が美しい。

 

皆が優しくて、まりあちゃんの人生には美しい時間が流れます。でもそこでひとりエキセントリックなのがつぐみ。口が悪く人の心を折るようないたずらを仕掛け、すぐに熱を出して寝込みます。つぐみには人生の時間は多く残されていないと周囲の人間は考えているので、そんなつぐみに寛大。だからつぐみはどんどん増長して、酷い仕上がりのおてんば娘になり上がります。

 

でも、まりあちゃんとつぐみの姉の陽子ちゃんはそんなつぐみをうまく操縦するんですね。酷いつぐみも周りの愛情に支えられ、死と隣り合わせの恐怖の中にあがきながらも成長していく。そんな西伊豆に、ある夏恭一、(真田広之)という青年がやってきます。彼とつぐみは恋に落ち、生まれて初めての主体的な恋に少しずつつぐみが変わっていく……というのがこのお話のあらすじです。

 

 

 

そんなにね、大きな事件は起きないんです。恭一が地元のヤンキーとやりあって、恭一の愛犬が殺されてしまう、という悲劇は起こりますが。それに仕返しをしようとするつぐみ。別にバイオレンスに発展することもなく、淡々と仕返しがなされる。つぐみはその奮闘のせいで高熱を出して生死をさまよいます。死の淵を覗いたつぐみが、まりあちゃんに残した手紙でラストは締めくくられます。

 

まったくもって、つぐみのエキセントリックな人間性と西伊豆の綺麗な自然を、吉本ばななさんの筆で切り取っただけの作品です。サスペンスやミステリーや感動を求めて読むと物足りないかな。でも、本当に美しいお話でした。吉本ばななさんって手元のものを3倍は綺麗に書く才能があるよなあ。海の透明感や旅館の畳の清潔さなんかが目に浮かぶようでした。私も夏の景勝地でひと夏を過ごしたような気分になりましたよ。……こんなのは、なかなか私には書けないだろうけどなあ。

 

これから、色んな女性作家さんの作品を読もうと思ってるんですね。全然知らない人にもチャレンジしてみようと思ってます。だって私も女性作家になるんだもん(どーん!)。どんな作品を書く人が周りにいるのか、知っておかなきゃいけないし。

 

そんなわけで明日も積み重ねるのみですな。ではでは、おやすみなさいっ!