ゴールデンウィークが終わるよっ!
こんばんは、渋谷です。
長かった10連休、休み疲れの方も多くいらっしゃるんじゃないでしょうか。
もちろん休みが多いっていいことなんですけどねえ。そうは言っても10日は長いわ。
主婦には修行のような10日間でしたよ。やっと終わる。小説書ける。
この連休中まったく書けなかったんですよ。ついでに書くとなんか変なものになっちゃいそうな気がして。で、休みの間に気付いた。
三人称で書いてた短編、一人称に書き直してみようと思って。一人称、プラス三人称他視点。主人公が変人なので、その方が変人の変人らしさが伝わりやすいかなって。
まあ明日から書いていきましょう。とにかく自由はすぐそこだ!あー楽しみ。そんなことを思いながら本を読みました。道尾秀介さんの「水の柩」です。もう遅いから、簡単に。
中二の男の子が主人公の、青春ミステリーです。ミステリーな要素っていうのは、書き手である道尾さんが構成によってもたらしたちょっとしたトリックで、それがなければ普通に男の子の成長ストーリー。
ゴリゴリのミステリーを求めて読むとちょっと物足りないかもしれないなあ。でも、美しい風景と「天泣」と称されるお天気雨、何者にもなれない少年、命を捨てようとしている少女。つぶれかけた実家の旅館、地方の鬱屈、ダムの下に沈んだ村に残された秘密、十分に楽しめました。ちょっと全体小説的なスケールさえあった。
主人公の少年逸夫くんは、家族や実家が経営する旅館の従業員たちに囲まれ、何不自由なく大きくなった男の子です。人に囲まれ愛されて。そんな自分を「平凡でつまんない人間」だと思っている。平凡じゃない何かを手に入れたいと思っています。
そんな逸夫くんに、「タイムカプセルに入れた未来の自分への手紙」を別のにすり替えたいから、一緒に掘り起こしてよ、と無理難題を投げかけるのが敦子ちゃんというクラスメイト。両親は離婚しており、お母さんは子供に興味を持たずにしかも学校ではいじめられています。敦子ちゃんの願いを叶えるため、ふたりは夜の学校に忍び込み泥まみれになりながらタイムカプセルを掘り起こし、計画を遂行します。
さて、敦子は過去に書いた手紙を、どんな内容のものに入れ替えたのか。そのあとひとり、自殺をすべくダムに向かう敦子。そもそもプロローグが、「敦子が自殺しに向かったダム」を再び訪れる逸夫くん、という設定だったので、最悪の結果を想像しながらページをめくりました。でもさすが道尾さん、その先には優しく美しいラストが待っているんだよなあ……。
かいつまんでのあらずじなので、いまいち何が何だかなのですが(;^_^A
一番大きな主題は、敦夫くんが「平凡な人生をどのように彩るのも自分次第だと気付く」というところなのかなと思います。ぼんやりした男の子なんだけどね。敦子ちゃんを救い、一皮むけて男になりましたよ。父ちゃんとは殴り合うし。実家のつぶれかけの旅館継ぐことを決心するし。
敦夫くんのおばあちゃんの描写もすごくよかったな。本当は恵まれない生い立ちだったのに、過去を忘れたいがために周囲に虚勢を張っていたおばあちゃん。お年寄りって、一人一人に大きなドラマが隠れてるんだよね。別に隠してあるわけじゃないけど、その辺をのんびり散歩してるおばあちゃんだって、一冊の小説になりそうな過去がある。面白いね。お年寄りの話、ちょっと聞いてみたいなって思った。私みたいな若輩にだって過去がある。いわんやお年寄りをや、だね。
思いがけず心が洗われました。面白かったです。さあではいい気分のまま寝よう。
では、おやすみなさい!