令和令和ー!
こんばんは、渋谷です。
平成終わったね。最後の日にも本を読んだ。2冊目です。これをアップする頃には令和ですが、たった今はまだ平成。NHKの爆笑問題を見ている。
カウントダウン見なきゃと思って。あと2分だって。で、短編集を読みましたよと。日本ベストミステリー選集 「暗闇を見よ」です。
収録作家さんが、
赤川次郎
飴村行
乾ルカ
歌野晶午
北村薫
倉知淳
柴田よしき
辻村深月
法月林太郎
……あ、令和になった。
平山夢明
道尾秀介
柳広司
米澤穂信
……となっております。
道頓堀もセンター街も大騒ぎやな。ハロウィンとかに騒ぎ立てるタイプの人たちかな。雨の中ご苦労様ですなあ。私は本読んでブログ書いてますが。色んな人がいるから世の中面白いね。
で、この本もとっても面白かったよー。もんのすごく久しぶりに赤川次郎さんを読んだ。「隣の四畳半」。安定の怖くない謎。いいですね。その後の飴村行、乾ルカの両氏は私、すごく苦手なやつだった。悪夢やんただの……。まあこれも好みの問題やからね。好きな人は好きなんでしょう。でも私は嫌でした。げっそり。そんな中。
やっぱり琴線に触れたのは道尾秀介さんの「冬の鬼」、米澤穂信さんの「身内に不幸がありまして」です。道尾秀介さんの「冬の鬼」は、すごい傑作でした。
何がどうすごいって、女性の日記の形をとった独白ものなんですが、日付が遡っていくのよ。不穏な内容から始まって、そこに至るまでの理由が少しずつつまびらかになっていく。「どうしてそんなことになったのか」の原因が、ちょっとずつちょっとずつ明らかになっていくの。だから知らない事実が合法的後出しジャンケンの形ではっきりしていく。叙述トリックではないのね。あの「……そんなんもっと詳しく言ってくれな分からんわ!」みたいな置いてけぼり感覚を味わうことなく、「そ、そーやったんや……!」が小出しにやってくる。
こりゃ面白い手法やねえ。時間を遡っていくっていうのはひとつのテクニックなんでしょうが、こんなに効果的に読者に驚きをもたらすなんてびっくりですよ。主人公の女性は火事で家族を失い、顔にひどいやけどを負ってるんですが。
それを愛する人に見られたくないがために、その人にお願いして眼球を摘出する手術を受けてもらっちゃうんです。自分の変わり果てた姿を見られていることが苦痛だったんですね。そしてその眼球をダルマに埋め込んでお焚き上げをした。これで私たちは幸せになれるはず。……なのになぜか鬼の足音が遠くから聞こえてくるような気がする。というのが一連の流れ。
これを逆の時系列で書いていくんです。鬼におびえる描写から始まって、ラストシーンが眼球摘出後のラブラブぶり。ぐわああ……なんという余韻。やっぱり私の好きな道尾秀介さん。面白かった!驚きの短編でした。
米澤穂信さんの「身内に不幸がありまして」も良かった。犯人は大体目星がついちゃうんですが、犯人が殺人に至るまでの動機が面白かった。「身内に不幸がありまして」……このセリフで会社ずる休みしちゃう人、いますよね。
この犯人はサークルの合宿をサボるために、大学入ってから三年連続でひとりずつ身内を殺しちゃうんだぜ!合宿で寝てる間になんか口走ると大変だっつって!なんやそら!ですが、名家の令嬢だからおかしなこと口走るわけにいかないんだってさ。この令嬢に仕える使用人の少女の目線で書かれた作品なんですが、描写が美しくて切なくて本当に良かった。素敵な作品でした。
他にも、平山夢明さんの「吉原首代売女御免帳」、辻村深月さんの「十円参り」も良かった。「吉原首代売女御免帳」は身を売る女の悲哀を書いた時代小説です。逃げられない女の悲しい運命。残酷さにたまらなくなりますが、こういう話はままあったんでしょうね。人情もの……でもないのよ、バッドエンドだから。でも覚悟を決めた女の迫力が圧巻でした。短編とは思えない読後感だった。面白かったです。
と、いうわけで令和も本を読みます。そして小説を書きます。あれこれジャンルを広げて読んでいきたいと思います。書くのも根詰めてやります。まあまずゴールデンウィークが終わらんことにはどうにもなりませんが。しょうがないので、焦らず。
ではでは、おやすみなさい!