読書感想文81 道尾秀介 向日葵の咲かない夏 | 恥辱とカタルシス

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作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

キャンプから帰ってきましたー!

 
こんにちは、渋谷です。
 
 
 
キャンプ行ってきました。
 
こうとか
 
 
 
こうとか
 
 
こう。
 
 
 
画像のサイズってこれでいいのかなー。デカかったらごめんなさい。
 
スノーピークがやってる高知のキャンプ場で、スノーピークのテント(バカ高い。ひと張り25万とかする)ばっかりの中、堂々とコールマン(庶民派テント。それだって軽く10万超え)張ってきたぜ!
 
キャンプって野営のクセにお金かかり過ぎる……。キャンプ場も1泊5000円とかする。田舎育ちなので、外で寝て金がかかるとか理解の範疇を超える。うちの山で野営したらタダですよ?と思うけど、まあ快適さが違いますわな。
 
ゴールデンウィーク後半でももう一回キャンプするかも。もうあとは茶漬けとこんこ(漬物)で給料日まで過ごすしかないわー……。
 
さて、昨日帰ってきてやっと本を読みました。道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」。
 
新人賞受賞第一作だそうです。かなり力のこもった、ホラーに近いミステリーでした。
 
 
 
 
うーん、これは……ね。
 
衝撃的なんですが、多分好みが分かれるなー。
 
ミチオくんという小4の男の子が主人公。同級生のいじめられっ子、Sくんの首吊り死体を見つけちゃうミチオくんが、妹のミカ、Sくんの生まれ変わりのしゃべる蜘蛛と共に、Sくんを殺して自殺に見せかけた犯人とSくんの死体を探す、というストーリーです。
 
なんかこの世界観の中では、死んだ人間は動物とか昆虫になってすぐ生まれ変わるんですね。で、人間と同じように喋って、ミカとSくんは和気あいあいと冗談を言い合ったりします。ミカは3歳の女の子なんですが、めちゃくちゃ口が立ちます。……ここでおかしいと思ったんだよなー。3歳児はこんなに話せない。機転も利かない。
 
ミチオくんとSくんの担任の先生、岩村先生に殺されたと主張する蜘蛛になったSくん。岩村先生は男児専門の変態です。付近で多々発見される動物の惨殺体も岩村先生の仕業なのか?ミチオたち3人はハラハラドキドキの冒険を繰り広げるのです。
 
 
 
……と、このあたりは「向日葵」って題名も分かる感じの流れなんですが。
 
この辺りから「……ん?」ってなってくる。
 
結論から言うと、ミチオくんはだいぶ基地外くんなんですね。Sくんは生まれ変わってなんかいないし、そもそもミカという妹だっていなかった。
 
Sくんは実際に死んでいて事件として現実にはあったのですが、「あのパートは現実」「このパートはミチオくんの空想」っていうのが入り乱れて一連の流れになっていた。大体Sくんだと名乗る蜘蛛が「岩村先生に殺された」って登場してすぐ主張してましたが、実際には岩村先生はSくんを殺していませんでした。
 
変態なのは事実なんですが。これもミチオくんが作り出した空想、ということになってるんだけど……どうなんだ?ちょっとご都合主義過ぎやしないか?
 
先に枚数が決められていて、そこに収まる長編を書こうとした、という感じの、微妙なエピソードがいくつかあるんですね。  
 
岩村先生の下りはいらんかったんじゃないかなー。真相とかけ離れ過ぎてる。あとご神託を降ろす近所の変わり者婆さんが実は猫でした、ていう下りも苦しい。ストーリーを分けて考えると、話をふくらませるために挿入したエピソードの中にいらないものが混ざってる気がする。
 
確実に必要なものの方がもちろん多いんですが。「え?」ってなるやつがいくつかねえ。ミカが、実はお母さんが流産しちゃった胎児の生まれ変わりのトカゲ、って辺りとかは必要ですが。盛りだくさんにしようとして頑張り過ぎちゃった感じがするなあ……。
 
 
 
とは言え。
 
練り上げられたプロット、奇想天外な結末、驚きの仕掛け、渾身の力作であることはよく分かります。迫力があって目が離せなかった。惹き込まれて一気よみしちゃいました。
 
とにかく、「主人公の気が狂ってるからこそ成り立つ叙述トリック」って辺りに疑問を感じちゃったんだよね。ここまで主人公の見てる幻に頼り切っちゃったんじゃ、ミステリーとして成り立たんやん。ホラーとして読むならアリだけど。なんか置いてきぼりにされた気分。
 
この作品が研ぎ澄まされて「月と蟹」とかに繋がっていくのかな。大作家も初期作品はこうなんだな、と感じました。まあエラソー。エラソーですが、一読者の意見ってことで。
 
熱がすごかった「向日葵の咲かない夏」。次も道尾さんにしようかな。
 
というわけで、またっ!