読書感想文66 榛原浩 母喰鳥 | 恥辱とカタルシス

恥辱とカタルシス

作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

やると言ったらすぐやるよ。

こんばんは、渋谷です。



前回のオール讀物新人賞の受賞作を読んだよー。図書館でバックナンバー借りた。

したら池袋ウエストゲートパークの短編が載ってた。まだやってるんだ……。アイフォンとかSNSとか言ってた。1作目ではピッチ使ってたのに、人気シリーズってすごいねえ。てかマコト今いくつなの?

いや、時を超えて続くってすごいことですね。ですがここでは「母喰鳥」です。榛原浩さん。私の大好きなドロドロの女の生き様もので、すっごく面白かった!

 

 

 

この「母喰鳥」は時代小説で、「たか」という名前の大店の次女が主人公です。「母喰鳥」とはフクロウの別名。母親を殺して食べちゃうんだって。知らなかった。たかを妊娠している間、そんなフクロウの鳴き声が始終聞こえていたという母親。たかは美しい姉と比較されあまり可愛がられず育ちます。そして見合い話がまとまった時には好きな男の子供を身ごもっていました。男の名は佐吉。

 

たかは佐吉との子を、田舎に引っ込んでこっそり産んでから輿入れする話になっていたんですね。でもそこで運命のいたずら。その田舎には、たかの夫となる男が手を付けた女中も同じようにして身をひそめていました。妊婦二人。同じ日に子供を産んだ二人。たかは産み落としたその子を抱いて女中さとのもとへ忍ぶ。そして自分の子とさとが産んだ子を取り換えてしまうのです。あー、昼メロでこんなん見たっ。

 

連れ帰ったさとが産んだ子はさっそく死んじゃいます。でもさとは子の取り違えを知らず、たかと佐吉の子を我が子として育てます。名前は定吉。そして夫とたかの間には子ができなかったもんだから、定吉はたかの元に引き取られる。これ、たかの計算通りなんですね。

 

愛する佐吉との子を自分の手元で育てるために。いいねっ。この欲望まみれの感じ大好き!で、定吉はたかに似て情緒に問題がある少年に育ちます。動物虐待したり。なにかと刃物振り回したり。でも定吉に情が湧いちゃって仕方ないおたかさん、最終的にはどえらいラストが待ち受けているのです……!

 

 

 

はー、小説として面白かった「母喰鳥」。私の大好物。筆致も美しかった。なるほど受賞作。納得でした。

 

でもね、オール讀物本誌では選評も読めるんですね。候補5作のすべての選評。読んで……うーん、なるほど厳しい。私はとても面白いと感じたこの「母喰鳥」も、選者の皆さんからすると足りないところがあるのですねえ。

 

いわく、「タイトルで結末がもろバレ」「ネーミングセンスが安易」「主人公にリアリティがない」「進行が荒すぎる」などなどなど……。

 

んー、そっか。そうなのか。でもまあ文句をつけようと思えば何かしらはつくわな。2000篇の頂点に立った作品ですらそうなんだ。新人賞というのは、かくも厳しいものなのですねえ。

 

でもまあ応募しますが。まだどんな話にするか決まっていません。一応考えているテーマはあるのですが、本当にこれでいいのか。悩み中。ゆっくり考えてプロットを作りたいと思います。時間はまだあるもんね。

 

というわけで傾向と対策してみました。

 

ではまた!