んー、面白かった。
こんにちは、渋谷です。
今日の今日とて読書です。今日は対談集を読みました。対談集……と言うかシンポジウムの議事録?
エンジン01という文化人で作る団体があるそうで、そこの作家部門の人たちのシンポジウム。この団体の話はさくらももこさんのエッセイでも読んだような気がします。今ネットで検索してみると、
エンジン01(ゼロワン)文化戦略会議は、各分野の表現者・思考者たちが日本文化のさらなる深まりと広がりを目的に参集したボランティア集団です。 日本は既に誇るべき文化を持っていますが、新しい文化が生まれ育つ土壌がありません。 それを築くための方法論を議論し、実際に仕組みとするために行動する場です。
とのこと。この本で対談をされているのは私大好き林真理子さん、「新宿鮫」の大沢在昌さん、時代小説作家の山本一力さん、脚本家の中園ミホさんの4名です。
この講演会はボランティアで開催されているそうで、お金が絡まないからかみなさん砕けきった調子でお話を聞かせて下さってます。ほとんど楽屋か飲み屋でのよもやま話。愚痴やちょっとした悪口なんかも。面白いなあ、人気作家って言ったって、やっぱり皆さん人間なんですもんね。
この本の題名は「売れる小説の書き方」ですが、最後まで読んでもそのお題の答えは出ていません。むしろ作家4人の「全然本が売れないよ」「どーやったら売れるんだよ」「あの中身ないのに売れまくってる本なんなわけ?」「あんなもん絶対後世に残らないってー。誰とは名前は出さないけどさ」みたいな愚痴です。4人って言うか、大体しゃべってるの林さんと大沢さんですが。
「売れる小説」っていうぐらいだから、お金の話も赤裸々に描かれています。前にも書いたかもだけど、全作家の中で著作で年収300万以上稼いでる人なんか50人もいないって。年収300万以下……。独り身や結婚されている女流作家さんなら何の問題もないでしょうが、家族を養える年収とは言いがたい作家業。編集者が兼業を勧めるのも納得です。いやあ、厳しいのね。
でもそんな中、山本一力さんのお話はすごかった。会社潰して大借金作っちゃった山本さんは、借金返済を目的に小説を書き始めたんだそうです。それで新人賞をとって今現在大活躍をされていますが、この本が出された10年前には「まだ、借金残ってるかな」ですって。すごい男がいたもんだ。借金を小説で返そうって。しかもそれを成し遂げちゃうんだからすごい。きっと今現在2019年には返済し終わっているのでしょう。愛妻家で2人のお子さんを大切にされているという山本さん、奥様もすごい方ですねえ。私だったら耐えられたかどうかわからんわ。
脚本家である中園ミホさんのお話も面白かった。この方たしか最近タモリさんとの不倫を取りざたされてましたよね?お写真も綺麗な方なんですが、脚本家もプロデューサーに枕を強要されるみたいなことをふんわり言ってたぞ。おいおい。コンプラ。あと脚本家の収入の安さ。1本いくらの定額で、DVDになればある程度の上乗せがあるらしいけど大したものじゃないらしい。ちょうどこの講演会の時に放映中だったドラマの視聴率が無残なものだったらしく、この本からも中園さんの追い詰められた様子が伝わってきます。脚本家、精神的にヤバそうな仕事ですね。追い詰められて自殺しちゃった脚本家さんの話なんかも出てくる。時間に追われるし数字に追われるし、動くお金もでかいもんねえ。
それに対して大御所の二人はのんびりしたもんです。飲みながらみたいなリラックスした雰囲気で文壇の噂話。宮部みゆきさんはあんなに稼ぐのにバーゲンで1000円で買った服着てるとか。石田衣良さんは人間的に中身がないとか。最近の若い作家には欲がないとか。昔は銀座でひと晩に何十万遣ったもんだとか。
よく飲み屋で聞くような話です。作家さんも普通の人間ですね。もちろん作家志望として聞き逃せないお話も多々ありました。「自費出版には近づいてはならない」「読書を重ねた上で自分から溢れたものを書くのが作家のあるべき形」とか「小説は書きたくないのに作家になりたがるのは滑稽」とか。
最後の「小説を書きたくないのに~」っていうのはぱっと聞き意味が分かりませんが、要は「小説を完結まで書くというめんどくさい作業はしたくないけど、なんか書いてそれがお金になる人になりたい」なんておかしな話だろう、ということですね。うん。そうね。完結させてこそやもんな。私もほったらかしてるのがいくつかあるぞ……。もうそこをいじることは多分しないけど、これからは全部仕上げたいと思います。だってそうじゃなきゃ原稿をプリントアウトして送ることができないし。
小説サイトだと、「未完成でOK」みたいな賞がよくあるから「ま、いっか」になっちゃうんだよね。でもいかんね。終わらせてなんぼやな。わかりました。もう半端はしません。
というわけで色んなお話が聞けて面白かった「売れる小説の書き方」。
山本一力さんはオール讀物出身の作家さんでらして、私も6月締め切りのこの賞に応募したいと思っています。ものすごい数の応募作が集まるらしいんよ……。その中で戦える作品が書けるように、着々と準備を進めていきたいと思います。
もちろん本も読もう。というわけで、またー。