あらやだ読んじゃった。
こんばんは、渋谷です。
今日は結構ちゃんと小説が書けた……。子供は3DSとスマホしてばっかでしたけどね。ほったらかして小説を書きまくっていた。まあ……時にはそんな日もあってもいいでしょう。
夜は夫が帰れま10見てたからその横でなんとなく本を読んだ。島本理生さんの「夏の裁断」。前々回、直木賞を獲られた方ですね。この「夏の裁断」も芥川賞候補になったということで。あまり長い本ではなかったので一気に読了。感想は……うーん、なんかめんどくせえ……かな。
主人公は女流作家の千紘ちゃん。実家はスナックを経営しており、そのお客さんに性的虐待を受けた過去から、男性に強く出られるときょどってしまう女性です。この千紘ちゃんが翻弄されるのが編集者の柴田。柴田は強引に女の子と距離をつめますが、なびいてくると猟奇的に冷たい顔を見せたりします。特に計算高くそれをやってるわけじゃなく、自然とそういう態度に出てしまう男って感じです。だからストーカーに追い回されたりする。自業自得ですね。天性のジゴロ、悪意のないジゴロって感じの男が柴田。このふたりの痴話げんかがお話の本筋です。
柴田と千紘ちゃんはがっぷりよつに共依存的な関係に陥ってしまいます。一度もセックスするわけじゃないんですが、お互いの精神的な凸凹が綺麗にハマっちゃったんだろうなあ。決して幸せな関係になれるわけじゃないのになぜか柴田に会いたくて会いたくて仕方ない千紘ちゃん。柴田も闇が深い男なのでわざと千紘ちゃんに恨まれるような態度をとり続ける。そしてあるパーティーで、千紘ちゃんたらフォークで柴田をぶっ刺してしまうのです。それがオープニングシーンで、そこに至るまでのあれこれが時間を巻き戻され書き連ねられていきます。
しかしね……はっきり言って見てられない共依存関係なんですね。千紘ちゃんも柴田もそりゃいろいろ辛いんでしょうけど、「んなことぐじぐじ言っててなんか状況変わる?何回同じ事繰り返すつもり?」って見てる方がイライラしちゃう。村上春樹さんのデビュー作を読んだ時にも思ったんですが、「どうにもならないことをグチグチ繰り返されるのって、不快だなあ」ってところなんですね。私、気が短いから。
千紘ちゃんは最終的に心理的なカウンセリングを受けて、目が覚めたのか柴田の支配的な言葉の一部始終をボイレコに収めて出版社に送りつけます。そうそう、それぐらいやらにゃ。てかそこに至るまでが長いわ。私にはその気持ちが理解できん。最後、やっとこの夏私は生まれ変わった、と千紘ちゃん自覚してラストシーン。まあ……良かったけど。 なんかやきもきしたわー。
この作品の中でテーマとして取り上げられているのが「自炊」。紙の本を電子書籍化する作業です。裁断機で本をざっくり切っちゃうんだそうです。それで、「夏の裁断」。
この描写は面白かった。大切な本が切り取られ電子書籍となって、元の本はゴミになる。作家である千紘ちゃんにはつらい作業。それがだんだん平気になっていくとともに柴田との関係も混迷を極めていく。引き込まれる構成でした。
文章もとても簡素ですっきりしていて読みやすかったです。改行が多くて話し言葉が多い。あと印象的だったのが時系列をはっきりさせない書き方。もわっと夢の中、みたいな印象を持たせることができるのね。おもしろーい。近いうちにパクりたいと思います。
というわけで、なんか登場人物に共感できなかった「夏の裁断」。島本理生さん、他の作品も読んでみたいと思います。評価の高い方ですから、1冊で合わないと決めつけちゃうのはもったいない。次は「ナラタージュ」かな。読むリストに追加しよっ。
そんなわけで小説書きます。ではまたー!