今日からアメブロに引っ越してきましたよ。
渋谷です。
引っ越してきたって言っても、過去記事の移行はしません。だって面倒なんだもん。
はじめましての方もおられるかと思いますので自己紹介をすると、
①エブリスタで書いていた
②作家になりたい
③愛媛の主婦
それが私、渋谷東子の自己紹介となります。執筆歴は1年ちょいの素人です。子供の頃には書いてたんですが、大人になってからはすっかりご無沙汰をしておりました。
「本を読まなきゃプロにはなれない」ということを痛感し、今年200冊の読書を目標に掲げております。
過去作などはこちらからどうぞ。この感想文のバックナンバーもそちらです。あ、エブリスタに置いてある小説に関しては、「つまんねんよ」などの苦情は受け付けません。あしからず笑
さて、そんなわけで金原ひとみさんの「蛇にピアス」を読みました。懐かしの芥川賞受賞作ですね。
昔読んだんですよね。今、「スロットばっかりやってるクズニート男女の青春転落小説」が書きたいなあと思っていて、「あ、蛇にピアス読み直しとこ」と思って図書館で借りてきました。
感想は……うーん、若さって、痛々しいね。
主人公のギャル、ルイはナンパしてきた刺青・赤髪・顔までピアスの男アマと同棲を始めます。アマの舌はまるで蛇のように先が分かれた「スプリットタン」。
舌ピアスしてちょっとずつ大きいのにして広げていって、最後先をチョンって切るんだって。考えただけで痛い。舌は痛かろう。私耳のピアス自分で開けたんですが、これだって痛かったよ?ここで既に痛いのに、この先も痛いことのオンパレード。
ルイは背中に麒麟と龍の刺青を入れます。ここでアマとは旧知の仲のシバと出会う。シバさんは本気のドSです。ルイとそういう関係になるのですが、首絞めるのはルーティン。綺麗さっぱり変態です。シバさんともそういうことしつつアマに食わせてもらっていたルイですが、ある日事件が勃発します。
ルイに絡んできた酔っ払いを一方的にど突き飛ばすアマ。勢い余って殺しちゃいます。キレやすいタイプなんですね。
ルイはアマの赤髪を灰色に染めます。警察来たらどうしよう。ドキドキしてるうちに、自分がアマに愛情を持っていることに気付きます。すっかり酒浸りで自分の感情のコントロールができなくなっていくルイ。どんどん舌のピアスも大きくしちゃいます。血が出て痛いしアマに当たり散らして痛いしほんと見てて痛々しい。そんなある日、アマが帰宅の時間になっても帰ってこない。
普段ならちょっとでも遅くなったら電話くれるはずなのに。ルイはシバさんに相談して警察に捜索願を出します。心配していろいろやってくれるシバさん。実はちょっと前にルイに手作りの指輪を渡してプロポーズしてたんだよね。アマがいること知ってるのに。で、アマは河川敷で死体になって発見されるのです。
死体は指の爪全部剥がれてるわごしょごしょに切り目入れられてるわ大事なとこに穴あけられてるわで惨殺体。でも死因は窒息死。そして、男性と性交の跡があったそうで。
……多分、犯人はシバさんね。分かっているのにルイはシバさんとの生活を続けていくのです。最後はっきりとした結末で締められる訳じゃないんですが、そうなんでしょう。何がなんだかねえ。
まあね、たぶんルイは気付いたんです。アマが望んで昔っからシバさんとそういうことをしていたって。
ルイがシバさんに「人殺したことある?どうだった?」って訊いたら、シバさん「気持ち良かった」って。ルイの前ではノーマルに見せていたアマは、本物のドMだったんでしょう。プレイ中に止まらなくなって死んじゃったってことなのかなと私は思います。ほら、SMは行き着くとこまで行ったらこうなるから。
もう痛い。痛々しい。ルイもそのうちそうなるんじゃない?分かってその男の横にいようという気が知れない。アングラに生きアングラに死にたいらしいのでちょうどいいのかも知れませんが。
もう10年も生きたら全然違う価値観が開けるのにねえ。20そこそこってそうなんだよねえ。私もその頃ピアス5個空いてた。無駄に飲んで騒いでいた。変な男とばっかり付き合っていた。でも、20そこそこなんてみんなそんなもんで、そこから年と共に色々見えてきて正気に返る。
大人になれば、変なことやってた罪悪感を抱えて苦笑いしながら、でもちゃんと社会を生きていくことができる。けどスプリットタンになっちゃったらもうなかなか普通の人生は難しいだろうなあ。だから私、刺青も否定派。
子供に説明できんもん。一緒に温泉もプールもいけないなんて嫌。その時だけバンソコで隠すとか逆にかっこ悪い。ルイはもう戻れないだろうなあ。貞操なんかは見た目で分かりゃしないんだからどうでもいいですが、刺青と舌ピはもう戻れない場所に自分を置くことになってしまう。
あー、若さって馬鹿。きっと育ってきた経緯も良くはなかったのでしょうが、人間は自分の力で生き方を変えることが出来るんだよ。死に急がなくてもどうせそのうちちゃんと死ねるんだよ。自傷の心地よさは分からんでもないですが、結局自分に酔ってるだけじゃん、としか思えない。
ま、それもこれも人生ですな。この本は良きにつけ悪しきにつけ「痛い」本でした。記憶に残る、「痛い」本。
これってきっと大事ね。すぐ忘れ去られる本じゃだめなんだろうな。現に私はこの本のことを覚えていて、もう一度読もうと考えて手にしたんだから。
私もこんな本が書きたい。と思った「蛇にピアス」でした。
ではまたっ!