200冊の本の中、昨年の本ベスト10! やっぱりAKB白熱論争が一位! | 白河桃子オフィシャルブログPowered by Ameba

200冊の本の中、昨年の本ベスト10! やっぱりAKB白熱論争が一位!

2012年の本ベスト10、遅くなりました!

特技といえば、異様に本を読むのが早いこと。
年間に読む本をちょっと数えてみました。
プライベートと仕事をあわせたら、一ヶ月に20冊は確実に読んでいます。
20冊X12ヶ月としたら、200冊以上は読んでいるわけですね。
これからは年間200冊以上の本を読むと名乗ってもいいかなーと
思っております。

さて、ノンフィクションベスト10ですが、順位はつけずランダムです。

女性のいない世界
プリンセス願望には危険がいっぱい
デフレ化するセックス
AKB48白熱論争
「有名人になる」ということ
男性不況
「欲望」のマーケティング
僕たちはガンダムのジムである
大卒だって無職になる
ブラック企業
番外:夫婦仲の経済学
   エロティック・キャピタル


今年は自分も「女子X仕事」の本である、「女子と就活」を
上梓したので、「働き方」関連の本はほとんど目を通しました。

僕たちはガンダムのジムである/ヴィレッジブックス

¥1,000
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常見陽平さんの話題作「僕たちはガンダムのジムである」は
男性の働き方本としては名作でしたが、女性にとっての
「ジム」とは何なのかが今後の私のテーマでしょう。

年始のジレンマでも言及されていましたが、
誰もが安藤美冬さんになれるわけではない。
普通に働いて、普通に結婚して子どもも持ちたいという
多分6割以上の女性たちの「働き方」に未だ処世術はあっても
正解がないのです。

大卒だって無職になる ”はたらく”につまずく若者たち/エンターブレイン

¥1,365
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その働き方本の中で「大卒だって無職になる」は、テーマもさることながら
アプローチの仕方が新鮮でした。
著者が自分の仕事について全く知らない大学時代の友人に語っていくという
手法で、この「働くことからこぼれおちていく人々」について
「理解を広めようとする」著者の姿勢が好感度大。
私もこういう風にわかりやすく少子化問題を語りたいと思いました。

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)/文藝春秋

¥809
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そして壊れて働けなくなっていく若者を作る
「ブラック企業」は、就活前の学生さんにぜひ読んでほしい。

疑問は「こんなに手間暇かけて、大量採用、選別、嫌がらせによる
自己退職を繰り返し、本当に利益になっているのか」ということです。
そのあたり、本当にこれが企業にとって収益モデルなのか、専門家にもっと
検証してほしいところです。

デフレ化するセックス (宝島社新書)/宝島社

¥780
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働き方本という意味では、風俗業界を舞台にした「女性の働き方」を
描いた「デフレ化するセックス」は衝撃的。

女性の価値がどんどん低くなっているとAKBを観るたびに思っていたのですが
やっぱりそうでした。

だって、かつての山口百恵や松田聖子ひとり分が今のAKB200人ですよ!
風俗で働く女性たちだって、もろに「女子の価値の下落」の波をかぶっている。
相対的貧困率とセットで語られる、女性が一ヶ月位稼げるお金についての
リアルが説得力がありました。
女性の貧困問題を扱う人にはぜひ読んでいただきたい。

この作者は風俗業界を通して、社会を観て、私は結婚や恋愛という事象を通して
社会を観ています。その視点には非常に共通点がある。
私が「結婚情報サービス業界」を取材するきっかけは、東大文化人類学の
山下しんじ先生とのこんな会話でした。
「これからはラブインダストリーに注目するといい」
「先生、ラブインダストリーってなんですか?」
「それは風俗や結婚情報サービスを含む、人と人との出会いのビジネスです」
これを聞いて、「風俗はさすがに取材は難しいので、私は結婚情報サービスを
取材しよう」と思った訳です。私が取材できなかった、もうひとつのラブインダストリー、
それが風俗業界だったのです。

なぜ女性の価値は暴落するのか?

それは女性たちが望む条件を持つ男性の減少です。
一家を養えるような男性がたくさんいた時代は
美しい女性は選ぶことができました。

しかし今は美しい女性10人が一人の稼げる男性を
争う時代です。

バブル時代に有名なモデルだった女性が今の女性たちをこう評しました。
「今の女の子たちはかわいそう。すごくキレイな子でも男性にかしずくようにしている」

この現象を招いたのは1997年からの「男性不況」です。
男性不況――「男の職場崩壊」が日本を変える/東洋経済新報社

¥1,575
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男性の就きやすい職場が減り、男性たちの収入も減っていく。

産業構造が変化したのです。かわりにサービス、医療、介護など
女性たちが就きやすい仕事の需要が増えています。

今起きているのは「一人の男性の働きでは中流の生活を維持できない」
中流男性の没落という現象なのです。

女性のいない世界 性比不均衡がもたらす恐怖のシナリオ/講談社

¥2,310
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産み分けにより、世界のいたるところで男性の数が
増えている。男女の数の不均衡が巻き起こす恐ろしい現実を暴露する本。
男性が極端に多くなってしまう社会では、貧しい地域から
嫁をもらう。その連鎖で、一番貧しい地域の男性の配偶者が不足し、社会に不満を
持つ余剰男性のパワーが社会を不安定化させる負の連鎖があります。

しかしその「余剰男性問題」を一気に解決するツールが日本にはあるかもしれない。

AKB48白熱論争 (幻冬舎新書)/幻冬舎

¥882
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本書の中で「世界平和を実現するには、恋愛弱者をいかに物理的に減らすか」と
言及されていますが、恋愛弱者や余剰男性による社会の不安定化を防ぐには
「AKB」をポイントポイントに作ればいいということになります。

AKBは男性たちの「闘争心」まで、選挙システムによって満足させてしまう
ところがすごい。

「AKB白熱論争」の冒頭ではいい年の男性たちが「僕はXXに何票入れた」
「負けた」という白熱した議論が展開され、そこに一番驚きました。
男性たちはアイドルを応援するときも「闘争」したいらしい。
これは発見です。

ジャニーズの総選挙は絶対にファンに指示されないでしょう。女性は
アイドルたちの関係性にも萌えるので、そこにはっきりした順位をつけたいとは
思わない。そこまで競争を持ち込まないのです。

とにかく、AKBで、政治、メディア、資本主義、宗教まで語ってしまうすごい本です。
しかし、こぞって識者たちが「僕が発見したAKB」について語りたがる今の
現象はちょっと何かに似ている。それは96年当時のキムタクブーム。
いわゆる大人の男の雑誌がこぞって「キムタク」をとりあげ、
男性識者たちがキムタクとは何ぞやを論じたかった。
そのときと、今のAKBの取り上げられ方はとても似ています。

欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書)/ディスカヴァー・トゥエンティワン

¥1,050
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「欲望」のマーケティングは美魔女ブームの仕掛人が
語った新しい市場の作り方。「美魔女」は「セックスレス」
から始まったという記述は非常に興味深いものでした。

「有名人になる」ということ (ディスカヴァー携書)/ディスカヴァー・トゥエンティワン

¥1,050
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「有名人になるということ」は勝間さんの本で一番好き。
有名人というビジネスの仕組みをきちんと惜しみなく開示してくれている。
有名人も一種のノマド。会社に頼らないあらゆる働き方の
オープンリソースが今必要とされているのでしょう。

プリンセス願望には危険がいっぱい/東洋経済新報社

¥1,680
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「プリンセス願望には危険がいっぱい」はアメリカ人女性ジャーナリストが
「女性が外見にとらわれること」の低年齢化が招く危険を警告。
筆者の娘はまったくそんな教育はしていないのに、ディズニープリンセス
に魅了され、筆者自身も娘にはピンクを着せたい誘惑にかられる。

私も強固な女子大生たちの「いつか養ってくれる人が現れる」願望に出会うと
いったい「何がベースになっているのか?」を知りたいといつも思います。

どんな母親に育てられたのか?そして影響を受けたアニメや漫画を必ず聞きます。

幸いにも日本では「王子様を待つだけの役に立たないディズニープリンセス」
ではなく「世界のを救うために戦う」女性ヒーローモデルに事欠かない。

逆に男子を守り愛してくれる女子がいつか星からふってくるという
(うる星やつらのラムちゃんみたいに)男子の願望こそ
危険かもしれません。

番外は

エロティック・キャピタル すべてが手に入る自分磨き/共同通信社

¥1,500
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「エロティックキャピタル」の日本版は
「女子力資本」と確信しました。

夫婦仲の経済学 皿洗いからセックスライフまで、妻と夫の不満は経済理論で解決/阪急コミュニケーションズ

¥2,100
Amazon.co.jp

夫婦を運営していくことは会社
経営に似ています。感情論ではなく
経済で説く夫婦仲の秘訣です。

長々と失礼いたしました。今年も刺激的な本にたくさん出会えますように。

ミステリ、時代小説、漫画部門はまた後日に!