11月26日13:06′益田市で飛行船を見ました。
大空の飛行船を見ると、浮かんでいるのか進んでいるのか、兎に角、優雅ですね。
これは、スヌーピーJ号で、時々、見ることがあります。
飛行船といえば、ツエッペリンの硬式飛行船が有名ですが、1891年ドイツで実用化に成功し
ドイツ海軍に納入しました。ツエッペリン社は、LZ129「ヒンデンブルグ号」を完成させま
したが、全長245m、直径41.2m、充填浮遊ガス20万m3だったといいますが、この充填ガ
スに水素を使用していた為、1937年5月6日アメリカのニュージャジー州上空で大爆発を
起し墜落しました。飛行船外皮のゴムが摩擦によって静電気を発生し火花が水素に引火した
のが原因でした。飛行船の失敗は、飛行機の無い時代に軍用目的であったことや充填ガスが
水素であったことなどで中断を余儀なくされますが、充填ガスに不活性ガスのヘリウムを
使うことにより、続いています。けれども、その後の飛行機の実用化で、軍事用や商業運搬
用としてのその存在意義は失われてしまいました。
水素とヘリウムなどの元素のことで、先日、理化学研究所のチームが発見した元素番号113
の新元素がニホニウムと名付けられたとは、アジア・日本初ということで、大いに意義ある
ことと報道されました。元素記号は「Nh」だそうです。
50数年前、化学を学ぶにあたって元素の周期律表を全部覚えさせられたのを懐かしく思いま
す。1839年ロシアのメンデレーフが提案したものですが、元素の発見の最盛期がこの後、
半世紀に渡って続きます。先の水素は1776年に発見、ヘリウムは1886年に発見されまし
た。従って、飛行船の充填ガスは、水素が主流で、ヘリウムガスは未だ発見されて間もない
ころでありました。ヒンデンブルグ号の場合も当時ヘリウムはアメリカだけしか生産して
おらず、アメリカがナチス・ドイツへの供給を断った為、水素ガスを充填したものでした。
現代、大空を優雅に飛んでいる飛行船も100~150年前の元素の発見の歴史とも見ることが
出来ます。元素の発見は学術的に重要ですが、ウラニウム・プルトニウムなど軍事目的に
使用すると多くの悲劇を招き、その悲劇は現代も続いています。
薬物も毒になることも薬になることもあります。重要なのは、人類の為に安全に適切に使う
“智慧” こそが大切なのではないでしょうか。
《2016.12.2 周南市 東郭》

ヘリウムガスの飛行船

ヘリウムガスの飛行船
【参考:ヘリウムの浮力】
空気密度 1.226kg/m3/at15℃
ヘリウム密度 0.169Kg/m3/at15℃
浮力 1.226-0.169=1.06kg/m3
20kgの物体を浮かせるには?
20/1.06=18.9m3
He18.9m3の重量は、18.9×0.169=3.2kg
