高杉晋作の獄中手記 #030 | 周南市 東郭の世界

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獄中手記
 
 
元治元年五月九日 讀書九十葉
 
 
因中作
 
 
囚窓無事晝貪眠      囚窓事無く昼眠りを貪る
夢結夢醒自寂然   夢は結び夢は醒め自ら寂然たり
恰有獄中似山裡   恰も獄中の山裡に似たる有り
家如太古日如年      家は太古の如く日は年の如し
 
 
【語句解説】
 
寂然(じゃくねん)=ひっそりして静かなさま、せきぜん・じゃくぜん
 
 
【東郭解譯】
 
獄中の晋作さんの詩は、このところ泰然自若としている心境が
 
窺えます。獄中の山裡に似ているとは、26歳の若者が感じる
 
心持ちではありません。これが結句の ”家は太古の如く、日は
 
年の如し”となっています。今在する所は、太古のように悠然と
 
し、一日の流れさえ一年のように感じるとの意と思いますが
 
そこには、もう苛立ちや将来の不安といったものは感じられませ
 
ん。禅の修行のような心の修業をしていたのかも知れません。
 
               《2015.9.11 周南市 東郭》