高杉晋作の獄中手記#004 | 周南市 東郭の世界

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4月6日は、読書50枚余りと書いています。晋作さんは上海でも毎日日記を記していますが、
 
習慣なのでしょうか?獄でやることと言えば、読書と書き物くらいしか思い浮かびません。
 
吉田松陰先生のように他の囚人たちに一緒に学びましょうとは、云わなかったみたいです
 
ね。明倫館での学問は嫌いでしたが剣術は柳生新陰流の免許皆伝を授けられています。
 
学問に目覚めたのは、松下村塾へ入門してからで、なんの為に学ぶのかと知行合一の
 
目覚めます。しかし風流味もある人間で、詩を詠んだり芸者遊びで三味線を弾いて都々逸を
 
作ったりしていますね。晋作さんは、後世病で死ななかったら詩人としても名声を得た筈だ
 
と高く評価されています。
 
 
                          《2015.7.21 周南市 東郭》
 
 
 

 
獄中手記
 
四月六日 讀書五十葉餘
 
 
因中作
 
醉倒京城幾酒樓   酔倒(すいとう)す京城(けいじょう)の幾酒楼
楚雲湘水夢悠々  楚雲(そうん)湘水(しょうすい)夢悠々
皈來誤落野山獄   皈来(きらい)して誤って落つ野山獄
空懐昔遊遣結愁   空しく昔遊(せきゆう)を懐うて結愁を遣(や)る
 
 
 
【東郭解譯】
 
醉倒(すいとう)は、酔いつぶれることで、京では幾つもの酒楼へ行って酩酊したなぁ~
 
楚雲湘水は、楚州の湘江という洞庭湖に流れ込む川付近の情景で秋思(許渾)のなかに
 
楚雲湘憶同遊(そうんしょうすいどうゆうをおもう)の句があります。そこで悠々たる
 
夢を見ていたなぁ~、帰来して誤って今は野山獄に落ちてしまった。”空しく昔遊を懐うて
 
結愁を遣る”は、”昔遊んだ京や上海を懐かしく思い出すものゝ今の境遇は空しいばかりの
 
愁いとして遺ってしまう”と云っているのだと思います。
 
それにしても、空懐昔遊遣結愁の表現は、尋常でない漢詩の才能であります。
 

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                   高杉晋作