瑠璃光寺五重塔は、室町時代、嘉吉2年(1442年)頃の建立とされています。私も数年毎参観させて
貰っていますが、行くたびに新たな情景を眼にすることが出来て、なんだか心が落ち着く気が致します。
この五重の塔は、基礎部分が開放されていて心柱を見る事が出来ます。
地震で倒れない免震構造の不思議が解明されたのは、近年になってからのことだと思います。
法隆寺五重の塔の建立は、680年といわれていますので、七百数十年後にもこの心柱の伝統工法が
伝えられていたということですし、それから更に六百年近くの現在まで受け継がれているのは、
驚異的という他ありません。
もうひとは、檜皮葺の屋根工法ですが、瑠璃光寺五重の塔は30年ごとに葺きかえると伺いました。
檜皮の採取檜は樹齢70~80年の物で8~10年サイクルで採ることが出来るそうですが、五重塔の
平均檜皮葺面積166m2、檜皮葺皮材60kg/m2、檜一本当たり6kg/本の資料から必要檜立木数は、
1,660本です。
10年周期で採取すると3回分で550本の立木檜が必要となります。
もっとも使用可能な良質檜皮となりますと、安全率2倍としても1,000本の樹齢80年程度の檜立木が
必要ということですが、言い換えれば、この国宝五重の塔の屋根材だけで檜1,000本分の価値が
あるということなんでしょう。しかし檜千本の管理という事は大変ですね。
日本全国で檜皮葺きの国宝・重文級建物約700棟で、必要檜の立木は、350,000本となっています
が、その他の檜皮葺もあり、自然の災害などを考慮すると大変な数の檜が必要です。
瑠璃光寺五重塔は、全く自然から出来ている、維持管理されていると言っても過言ではありませんよね。
この日の瑠璃光寺五重の塔は、実に綺麗でした。そのときは、良く判りませんでしたが、帰って
写真をみると、黄金に輝いて見えます。どうも建立当時は、金箔が貼られていたのでないかと
思いました。西の方の太陽光の反射して、昔の面影が出てきているのでしょうか。
また、次回参詣したときに、この件尋ねてみたいと思っています。
《周南市 東郭》
