かわせみ小太郎は、このところ姿を見せない。
西光寺川の中流域は、緑が増えてきて田植えの準備の草刈りをしている時季である。
それらを警戒しているのだろうか?
昨日、山口の瑠璃光寺へ行った時、ボランティアガイドの話では五重塔の前の池にカワセミがやって
来るそうである。観光客が余り多いとカワセミもやってこないのだそうだ。
まあ、自然のなかで魚獲りなどして暮らすカワセミも人知れず苦労しているのかも知れませんね。
でも、瑠璃光寺にやって来るカワセミも西光寺川の小太郎も生きてるのだから、知らない所に良い
場所があるに違いありません。
《2013.4.30 周南市 東郭》

カワセミは、きっと何処かにいる。
知らない世界があるに違いないと思って、
カワセミの漢詩を探っていました。
すると、1800年前の翡翠(かわせみ)を
詠んだ詩が出てきました。全く驚きの極致
でした。中国の後漢末期の人であります。
魚を獲っている小太郎

生年: 132年~192年
出生地:豫州陈留圉
(河南省開封市)
職業:左中郎将、书法家、文学家
桓帝・靈帝・献帝のもとで
中郎を務めた中央官庁の
お役人ですが、博学で有名な
ようで、著書も多くあります。
飛白体を創造したのは、
この蔡邕です。
皆さんは、既に、ご存じかもしれませんが、どうも大変な人物のようで董卓との話も出てきます。
でも今日は、1800年前の「かわせみ」の事を古代人がどのように捉えていたか漢詩でご覧ください。
翠鳥 蔡邕 翠鳥(すいちょう/かわせみ)
庭陬有若榴、綠葉含丹榮。 庭陬(ていすう)に若榴有り、緑葉に丹栄を含む。
翠鳥時來集、振翼修容形。 翠鳥時に来り集い、翼を振りて容形を修む。
囘顧生碧色、動搖揚縹靑。 回顧すれば碧色を生じ、動搖すれば縹青(ひょうせい)を揚ぐ。
幸脱虞人機、得親君子庭。 幸いに虞人の機を脱して、君子の庭に親しむを得たり。
馴心託君素、雌雄保百齡。 心を馴らして君が素(そ)に託し、雌雄百齡を保つ。
注) 庭陬: 隅,[城市,村镇,国家的]各个角落 (庭のすみ)
若榴: 石榴的一个别名(ざくろ)
丹栄: 红花 (赤い花)
振翼: 振动着翅膀(翼を振る)
縹青: 青白色,淡青
虞人: 猎人(かりうど)
机 : 機(ここでは狩人の道具で石矢・弓矢)
日本語現代訳
庭の隅に石榴(ざくろ)が有って、緑の葉と共に赤い花が咲いている。
かわせみは、ときに集まって来て、翼を振って容姿を繕っている。
ふり返えれば、水面は碧色を生じ、池の水が動揺すれば淡青になる。
幸い狩人の弓矢を逃れてきて、君子の庭で安堵することができた。
心を安らかにして君子の徳に任せれば、カワセミの雄雌は百歳までも
長寿を保つ。
【感想】・・・かわせみの事を詩にしたのは、これが最古ではないかと思っています。
かわせみは、今、私が看ている“かわせみ”と同様に羽ばたきしたり、羽根の繕いを
しています。「回顾生碧色,动摇杨缥青」の句は、かわせみのコバルト色の事を
言っているみたいですが、同時に蔡邕自身の人生を言っている事だと気が付きます。
美しいかわせみが、いつの間にか自分になって、君子のもとで幸せに暮らせるのを
詠っているようです。しかしこの後、蔡邕は可哀そうなことに獄死となりました。
一方かわせみは、幸せに過ごして来て、今も私たちの前に姿を見せてくれます。