恵子 まぐわうだなんてまた淫靡(いんび)な響きですね。熟成って菌たちと仲良くするってことですもんね。
諭吉 そうだよ。古くからある味噌蔵には江戸時代や明治時代もずっと生き続けている長生きな菌もいるんだよ。その菌はかなり熟成度が高いから麹を入れなくても発酵が進むんだ。蔵の中に住み続けている証拠だなあ。
恵子 ここでもまた「稽古照今」な発想が出て来ましたねえ。
諭吉 「稽古照今」このキーワードこれから「お金道」と一緒に流行語として取り入れたいなあ。で、その味噌を寝かしている時に副産物として出て来る底の方に溜まっている汁を溜まりと呼ぶんだよ。味わい深い醤油だけど醤油の域をはるかに超えた別の調味料といっても過言じゃないねえ。
恵子 さっき出てきた溜まり醤油ですね~。
諭吉 そうだよ。一本でかなり味わい深いんだよ。豚の角煮や肉じゃがブリ照りヒジキなどにはこれ一本で十二分に美味しいんだよ。そして菌が生きているから冷蔵庫保管せずに火のそばに置いていたら菌が活性化して蓋が開いてきてしまうほど元気があるんだよ。そしてこの溜まりは薄めていない底引き溜まりという桶から出たてのフレッシュな香りがたまらないんだよ。味の五原則を全て網羅しているこの溜まりを食べずに一生を終わったら後悔がいっぱいで成仏できるかどうか。調味料が良いと変な小細工が要らないから調味料にお金かけるのは大事だよ。
恵子 そうですかあ。お料理上手になれそうですもんねえ。鈴鹿市の《くるる》で取り扱っていますから買いに来てくださいねーーー。
諭吉 君、さっきもそれ言ったから。宣伝が上手なんだから、でも良いものが普及していくのは何よりも大事なことだからどんどん宣伝したまえ。
恵子 フフフ。ありがとうございます。味噌は五百グラム五百円。溜まりは二百ミリ七百十円なんです。遠くの方には宅配便でも送っています。それからくるるオリジナルでこの絶品味噌を使った味噌マフィンも絶品なんですよ。マクロビの先生三谷直美さんが作ってくれました。
諭吉 これだけ宣伝したら《くるる》さん行列で入りきれなくなるけど大丈夫か?
恵子 店長に言っておきます(笑