――村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』が教えてくれた、“強い体が心を支える”という真実――
■ 絶望の底にいた日々
あの頃の僕は、生きる意味を完全に見失っていました。
仕事を失い、人間関係も途絶え、
朝目が覚めるたびに「もう生きていたくない」と思っていました。
けれど、心の奥の虚しさや絶望感は、どんな薬でも消えませんでした。
世界がモノクロに見えて、
笑うことも泣くこともできなくなっていました。
■ 一冊の本との出会い
そんな時、たまたま手に取ったのが
村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』。
読み進めるうちに、心に突き刺さる一文がありました。
「仕事や創作活動を支えるのは、結局のところ強靭な体なのだ。」
その言葉に、胸の奥で何かが静かに動いたんです。
“心を立て直す前に、まず体を動かす”
その逆転の発想に、ハッとしました。
■ 科学が証明する「運動はうつを癒す」という事実
後で知ったのですが、
ランニングのような有酸素運動は、
うつ病に非常に大きな効果があることが、
世界中の研究で明らかになっています。
走ることで、脳内の「セロトニン」「ドーパミン」「エンドルフィン」が活性化します。
これらは“幸せホルモン”とも呼ばれ、
感情を安定させ、不安をやわらげ、心に活力をもたらす物質です。
つまり、ランニングは 「自分でつくれる天然の抗うつ剤」 なんです。
■ 「体が整うと、心が立ち上がる」
村上春樹さんが言っていたように、
強靭な体は、心を支える土台です。
体が元気を取り戻すと、
不思議と心も回復していきます。
朝の光を浴びて走るたびに、
僕の中の小さな生命力が、静かに目を覚ましていきました。
あの頃は、「もう一度働きたい」なんて考えられなかったけれど、
今では、元気に働いている
それは、走ることで“心の筋肉”も少しずつ鍛えられたからだと思います。
■ 今、苦しんでいるあなたへ
もし今、心が折れてしまっているなら、
無理に元気を出そうとしなくていいです。
でも、ほんの少しだけ動ける日が来たら、
外に出て、10メートルでもいいから歩いてみてください。
それが、あなたの“再スタート”になるかもしれません。
走ることは、決して特別な人だけのものではありません。
むしろ、心が傷ついた人こそ、走る意味がある。

