KZくんちの工務店はKZくんのお父様のお父様、つまりお爺様が始めた事業である。

昔気質で頑固なお爺様に比べ、KZくんのお父様はまさに真逆なタイプで、わたしにもそうなんだけどお会いするととにかくもうずーっと喋っているんです。

その話の内容は多岐にわたり自分の昔話や武勇伝、最近のお仕事事情、趣味の麻雀等々、色々な話題をがががっと喋ったのち、

 

 

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のです笑。というわけでお話が延々とループするのですが、KZくんも似たような気があるので同じ話をするのは親譲りなんだなぁとちょっと感動しました。前回のお話に出てきた力板を都会の工務店で習った話なんか5回は聞きましたからね。まぁ伝えたいから同じ話をしているんでしょうし、こういう時は「その話前にも聞きましたよ」なんて無粋なことを言わずうんうんそうなんですかぁと相槌を打っているのが個人的には正解な気がします。

 

ちなみにKZくんにはお兄さんもいて、そのお兄さんがお爺様似の昔気質な感じでしてお父様がへらへら喋っていると「同じ話してんじゃねえよ!」とツッコミを入れてしまうとの事で現在は出向しKZくんやお父様とは別な所で働いているようです。親父が死んだら工務店を継いでやるとの事…絶対に兄弟で揉めるパターンですね。

 

そんなお父様は実はすごい営業センスがあって、とにかくへらへら喋りながらいつの間にか仕事を取ってくるんです。で、見積も出さずあれよあれよと作業を行いながらあれもしようこれもしようってお客さんの了承を取って、結果蓋を開けてみたら意外とお金がかかった…なんてことがザラのようでして。普通に考えたら完全に苦情案件だと思うのですがそこは「KZくんのお父様だから仕方ないか」というお客様の諦めというか、持ち前のキャラクターでカバーしちゃっているのです。腕はともかく丼勘定も甚だしいので個人的には恐ろしいなぁと思いながらそんな話を聞いていました。

 

 

 

 

前回、いつぞやの10月にはリフォームが完了しすぐにでも引っ越せる状態になったKZくん。いつの間にか奥様もご懐妊し、子供を迎え入れる準備は今住んでいるアパートではなく新居で早めにした方がいいんじゃないかというとKZくんは今は引っ越せないなんていう。理由を聞くと簡単な話で「金がない」との事でした。

 

まぁKZくんは養育費も結構多めに払っているし確かにお金がないのかもなぁと思いつつ、なんでそんなにないのと尋ねると「リフォームにかかった」なんて言うじゃないですか。そりゃリフォームにはお金はかかるだろうけど、リフォームの代金って中古物件を買う時にローンに組み込まれていたはずじゃないの?と言いかけたところで何となく察するわたし。

 

KZくんがリフォームするなら当然自分の家の工務店を使うじゃないですか。その工務店の代表は当然お父様で…で、まぁここまで読んでいただけたら想像するのは簡単な話なのですがお父様がざっくり出したリフォーム費用の概算をはるかに上回ってしまい、借りたお金では全然収まらず足が出た分はKZや~払えや~ということだったそうでして…

 

で、KZくんは所持金をむしり取られて40を超えているのに本当の一文無しになってしまったわけです。生活費は俺が出すから!と言って連れてきた奥様に生活費を出してもらいながら何とか生きているそうで。KZくんって多趣味で浪費家のわたしとは全く真逆で普段お金をあまり使わないタイプでそこそこ貯金もあったらしいのに…挙句お金が無さ過ぎてとりあえず30日間無利息のサラ金から借りてこようかな…なんて言い出す始末。

 

幸いながら借金はまだ無かったようだけど、そんな急場を凌ぐ為にサラ金に行った所でキャッシュフローが崩壊しているんだから付け焼刃にしかならないんじゃないかとアドバイスする。無い袖は振れないって通帳を見せながら説明してきたらいいんじゃないの?というと解ったというKZくん。お母様に相談するとの事でして。

 

家族経営の工務店なので当然お母様が経理担当なのですが、このお母様がこれまたすごい。何がすごいってずーーーーっと喋っているお父様より喋るんです。初めて会った時びっくりしたのですがとにかく喋り捲るお母様。その話の内容は多岐にわたり自分の昔話や苦労話、最近の生活事情、お兄さんの子供つまり孫の話等々、色々な話題をがががっと喋ったのち、

 

 

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のです。お話が延々とループする…って、まぁつまりKZくんちって、

 

 

両親が物凄く喋る

 

んですよ…そりゃKZくんがヘラヘラとよく喋るのはよく解るし、興味のないことを話半分で聞いているというか全く頭に入っていないのも納得ですわ…ただ面白いのがお母様がいる時はお父様が全くの無言になる所ですね。KZくんちのパワーピラミッドはお母様が頂点にいるんだろうなぁ…

 

で、KZくんは実家に行きそんなお母様に通帳を見せながら「ちょっと払えないんだけども」なんてKZくんが言うと、

 

 

あんたまたそうやって適当に勘定して!!

 

と、お父様にブチ切れまくって余剰分のリフォーム代金は支払いを先延ばしだか分割だかにしてもらった模様。でも大幅マイナスだった生活費が0に戻っただけなので結局引っ越しは年末ということに。

 

 

 

 

年末。

 

結局引っ越し屋さんにお願いするお金は貯まらなかったので後に登場する(かもしれない)お友達2人とわたし、そしてKZくんでアパートから新居へ荷物を移す作業を行う。これだったら10月の地点で引っ越しても変わらないんじゃね?と思いながらもアパートに入ると、どうやらKZくん夫婦はテーブルが買えなくてミカン箱の上で食事をしていたようでした。そんなミカン箱を眺めていると「ミカン箱は普通の段ボールより丈夫だから塩梅がいいんだ!」なんて言ってました。

 

つまり引っ越した時に必要最低限使うものも買えなかったから引っ越しが年末になったようでして。個人の価値観だけどよう奥様もこんなKZくんに付いていってるなぁ…毎日がイレギュラーだから楽しいのは楽しいのかもしれないけど…

 

荷物の搬入完了。終わったのでKZくんのおごりで焼肉に行くことに。事情をよく知らないお友達2人はわーいなんて言っているけどKZくんのお財布事情を知っていてなおかつ「もう今月13000円しか現金が無いんだ、足らなかったら悪いんだけど貸してくれ!」なんて奥様に言っている様子を聞いてしまったわたしは複雑な心境となる。

 

焼肉のお会計は12800円。KZくんのお給料日まではあと10日あまり。KZくんが支払うと一日20円で生きていかなきゃいけないのか…と、言うわけでKZくんがいないタイミングで奥様にお札一枚を渡し、わたしからではなく奥様から「お金ないだろうから使ってね」って言って渡してあげてとお願いする。大工が1日20円しか使えないのが10日も続いたらのではさすがに死んでしまうだろう…

 

と、言うわけで引っ越しの手伝いをした挙句、引越し祝い以外のお金を支払って自宅の隣にKZくんをお招きしたおよでした。こんな感じでしたので当然引っ越した後も問題しか起こらないのですよ…

 

 

(評判が良ければ奥様出産編へ続くかなぁと思ったけど変なのが湧いたので続編は微妙)