サムネでネタバレになるのもなにか癪なので最近お気に入りのドン・キホーテで売っているごまにんにくを載せておきました。何にかけてもいい感じのこれ、おすすめです笑
 
 
 
 
不動産屋さんがうちの隣を購入したと聞いた時、最初にうっすらとここでKZくんを紹介したら彼は隣を買ってしまうのではないか?…とは思ったものの、いやぁでもこんな面倒な物件は買わないだろうと思ったんです。その証拠がこの写真。
 
 

 

 
これ、隣の玄関前なのですがさすが10数年放置された物件だけあって廃墟というかもはや植物園になっていたんです。と、言うのも前に住んでいた方は相当植物が好きだったようで庭に花や木を植えまくり、その後長期放置により住宅は植物に浸食されていました。これでも不動産屋さんが室内に入るため少しカットしているそうだけどそうは見えませんよね。
 
住宅に緑をうまく使うと映えるのは手入れをしているからであって、これでは映えるどころか植物の根によって建物にダメージが結構いってたりするんじゃないかな…と考えたのでKZくんが買うことはないだろうと予想しましたが彼はあっさり裏切ってくれました。ちなみに購入した理由は「安かったから」
 
 
 
そりゃ
こんな廃墟なら
安いだろ笑
 
 
余談ですが建物評価額は「-200万円」。もう完全にこの家を取り壊す費用分ですよね笑。まぁでもKZくんが欲しいって言うのを止める権利もないし、この時わたしはちょっとやりたいことがあったのでちょうどいいやと思いまして。なのでこの廃墟をリフォームする時、わたしが暇だったら無料で手伝うからって言ったのでした。
 
話はそれますがこのKZくんがうちの隣を買う事件のちょっと前、また別な地元の友達が結婚式を挙げたんです。で、わたしの仲間内の誰かが結婚式を挙げると必ず結婚式の「余興」を地元の友達に任され、毎回手は込んでないけど何かしら一芸を行ってました。
 
ですが時期としてはコロナ禍の真っただ中。祝いの席ではあるけど、いつものようにふざけてどんちゃんするのは如何なものかと考えたわけです。その結果、友達とふざけながらもお祝いするビデオレターを余興の時間に流すことにしました。
 
で、まあおょょならできるだろうってことで動画の編集を任され、友達が各自テーマに沿ってふざけた動画を送ってもらいそれを切った貼ったしたりテロップを入れたり効果音やBGMをつけたりしていた時にふと思いました。
 
あれ、動画編集って簡単じゃないか?
 
確かに安いながらも専用の動画編集ソフトは購入しましたが、基本的に動画編集って内職みたいに細かな作業が続くだけでテクニックというか知識はさほど無くても一般的なYouTubeにアップロードされている動画くらいなら作れることに気づいたのです。
せっかく専用の動画編集ソフトも買ったし、機会があればYouTubeに動画投稿をしてみたいなぁなんて思ってました。しかしながらわたしにはこの時動画としてアップロードしたい題材が無かった。
わたしの好きな動画ジャンルはレトロゲーム全般だけど世の中的にはニッチな世界のようで動画の閲覧数があまり伸びていないし…どうせやるなら趣味の範囲だとしても日の目は浴びたいですから。
 
そんな時にうちの隣の廃墟を友達がフルリフォームするなんて話が出たんだからそりゃ言いますよね。タダでリフォームを手伝うから動画を撮らせてくれって笑。DIYのYouTube動画って需要があるみたいでどの動画も結構閲覧数がついているしわたしも興味のある分野だったので。こうしてわたしはKZくんの家のリフォームを手伝うこととなったのでした。
 
 
 
 
8月。KZくんが無事に銀行からの融資を受けられうちの隣を購入しました。リフォームをするのが実家の工務店ってところで融資額についてちょこっといざこざがあったみたいだけど何とか丸く収まりました。
 
引き渡しが完了したのでまず取り掛かったのが周りの植物の撤去。このままではまともに家にすら入れないのでKZくんと二人もくもくと植物を伐採したり伐根したりしていきます。
 
思いっきり土台の下に蔓性の植物が入っているように見えたけど意外や意外土台と建物は全然無事でした。アイビーやオカメヅタといった蔓性の植物がコンクリートを割っているさまをいろんなところでわたしは結構見たことがあったのでこれには一安心。
 
 
 
と、思ったけどやっぱり建物裏の一部分に蔓性の植物がコンクリートをぶち破った形跡があったので徹底的に除草剤を使って枯らしました。これを放置すると植物に土台を破壊されます。自然の力って怖いからなぁ…ただでさえ蔓性の植物は全滅させるのが難しいのでしっかり除草作業をやる必要があります。
 
 
 
 
二人で3日がかりで外に取り掛かった結果、なんとか建物が見えるくらいまでは庭が片付きました。外が片付いていないとリフォームで取り壊した際に出るゴミの搬出が困難ですからね。当然動画をまわしていました。ビフォーとアフターの差が歴然だったのでこれはいい動画ができそうだ、なんて思いながら…
 
外が片付くとKZくんのお父様も現場に入り早速室内を解体していきます。KZくんちって実家住みの彼の兄も大工さんなのですが兄は出向しているのでKZくん工務店はお父様とKZくんの実質二人で運営しています。
 
KZくんのお父様は昔気質の無口で頑固な職人肌…ではなくむしろその真逆でカラカラとよく喋る人懐っこいタイプの人。KZくんが誰とでも何となくふわっとやり取りできるのはこのお父様譲りなんだろうなと思いました。
 
しかしながらこのお父様、仕事は大胆であっという間に壁と天井を破壊します。いったん内壁と天井を取っ払って断熱材や透湿防水シートを入れ気密性や断熱性を確保するためなんだろうけど、壊すのが早い早い。70歳過ぎているとは思えないスピードで仕事をこなしていきます。
 
解体していて気づいたのですがこの家、昔の家なのに相当頑丈な作りなのです。内壁を取っ払うとそこにあったのはコンクリートの壁。外壁材と内壁の間には細かな金属の網を貼りその上からかなり厚めにコンクリートを塗りたくって家の壁が作ってあったのです。
 
つまりこの廃墟は木造住宅ながらも実質コンクリートの箱みたいな造りでした。東日本大震災をはじめでかい地震を何度も食らっている割に建物が縒れていないんですよーなんて引き渡しの時不動産屋さんが言ったそうだけど、こういう頑丈な作りなら地震にも耐えるよなぁなんてKZくんがしみじみと言ってました。
 
ちなみにこの辺一帯の古い家は同じハウスメーカーで建てているので隣であるうちも同じ頑丈な作りなんだろうな、なんて何故か妙に安心しました笑。ただし、KZくんが言うには当然今時の家より重い、との事。まぁ全面コンクリート壁ならそりゃそうだけど、家が重いと何か問題があるんだろうか…
 
なんてことを話しながら取れる天井や内壁をあっという間に取っ払って、がらんどうになった室内にて休憩しながらお父様がこんなことを言い出しました。
 
「KZや、柱抜きてえなぁ」
 
…柱を抜く?確かにこの建物は昔の家だからか柱が多めに建っている気がするけど、住宅の柱は誰もが想像できる通り建物を支えている重要なものなのでそんなことをしても大丈夫なのだろうか?なんて考えていたら、お父様が力板を使えば大丈夫だ。なんていう。
 
力板ってなんですか?とお父様に尋ねると、こういう事らしい。
 

 

 

 
この様に柱が同じ列で3本並んでいて真ん中の一本を抜きたい場合、
 

 

 

 
天井ぎりぎりに横に一本柱を入れてあげて3本の柱に打ち付ける。力板のサイズはいわゆるツーバイエイトのサイズが良いそうで。で、力板を3本の柱にしっかりと固定してから、
 

 

 

 
真ん中の柱をカットして抜いてあげると真ん中の柱にかかっていた負荷は力板によって左右の柱に逃げる、というテクニックだそうだ。
 
実際この力板のテクニックを使って古い家をリフォームする時に柱を抜き部屋を広くすることは多いそうなのでKZくんに柱を抜くべーなんていうお父様。しかしKZくんはいまいちうーんお父様が抜きたいならいいけど…みたいな反応。
 
後でKZくんに聞いたのだけども彼は元からある柱を抜くのはあまり好きではないそうで、理由は簡単「必要だからそこに柱はあったわけでしょ?」だそうだ。ぶっちゃけわたしもそう思うけど笑、あまりKZくんが強く言うとお父様はむつけてしまう(機嫌を損ねる)そうなので力板を使って柱を抜くことに。ツーバイエイトの板をKZくんと早速ホームセンターへ買いに行きました。
 
ここで今更ですがKZくんの新居の構造について説明。この家はちょっと変わった構造で、横から見ると、
 
 
■■  ←2階
■■■■←1階
 
と、一階のちょうど半分部分の上に2階がある構造なんですよ。説明がしづらいんだけど、手前半分が平屋で奥が2階建てみたいな。こんな造りなので2階はあるけど小さめサイズなのです。それでいて今回力板を使って抜く柱は3本、2階の重さがかかっていない柱が2本。2階の重さがかかっている柱が1本…
 
力板を取り付け、抜く柱に横の切れ込みを入れてお父様が大工の源さんが振り回してそうなでっかい木づちで柱をぶっ叩いてだるま落としのようなしぐさで抜きます。まずは1本目…2階の重さがかかっていない部分です。バコーン!とお父様が柱を叩く!柱が抜ける!
 
…セーフ。何も起こらず。次に2本目、こちらも2階部分の重さがかかっていない柱です。バコーン!柱が抜ける!
 
…セーフ。3本目。2階部分の重さがかかっている柱。だけど1,2本目でなんともなかったからここも大丈夫だべーなんて言いながら木づちをふりかざすお父様。
 
バコーン!
 
柱が抜けたっと思った次の瞬間…
 
 
メリメリメリメリメリメリメリメリ!!
 
 
と、だれが聞いても嫌な予感しかしない音が鳴り響く…
慌ててKZくんが抜いた柱の力板から地面までの長さをスケールで測って一言。
 
 
お父様、
5センチくらい
天井が落ちたね…
 
 
 
 
 
 
 
 
その時は素人目にはなんとことか、どのくらい何が下がったのかわからなかったけどこのように天井に石膏ボードを貼り付けたらよく解りました。明らかに柱というか力板が一部分だけ出ています…
 
なんでこうなったのかは、推測ではあるんだけどやっぱり2階部分が思ったより重かったからかなぁなんてKZくんは言ってました。なるほど、重い家というのはこういった弊害が生じるのか…一つ勉強になったわ。
 
ちなみに柱を抜いて天井がメリメリと少し落ちた時、お父様はバツが悪かったのかハハハと笑いながらどこかに行ってしまいました。その瞬間ホームセンターへ走り金属の梁をしこたま買い付けて打てるところ全部にボコボコと取り付けていくKZくん…まぁ住んでて2階が降ってきたら嫌だもんね。そうするよね…

 

と、同時に当然この力板による柱抜きも動画で撮っていたのですが、これを公開しても誰も幸せにならないよな…ということでお蔵入りすることにしました。

 

この部分だけカットすればいいかなとも思ったけど、なんせ家の柱が3本もなくなっていて柱抜きをカットすると室内が広くなった話とつながらないし、なんか一部分天井から横の柱見えてるのも変だしってことで動画デビューは見送ることに。

 

お父様が引退したら反面教師動画としてアップロードするかもしれないけどリフォームで若干2階が落ちてきたなんて知れたら仕事来なりそうだもんなぁ…正直リフォーム中はこの他にも色んな事があったけどいつか動画にするかもしれないのでこれにて割愛笑

 

 

 

 

そんな危うく家が崩落しそうなピンチを乗り越えた10月。2か月余りの期間でリフォームは完了しました。外観はともかく中は見違えるようになったのですぐに引っ越したい…って思うはずだけど、KZくんが引っ越すのは年末かなぁ…なんていう。

 

え、なんで…?と聞くとそこにはまた他の人が聞いたらびっくりするような事実があったのでした…いやはやそれはないだろ普通…

 

 

(評判が良ければ続く笑)