初鰹の御利益 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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 宮城県丸森町にある金山城伊達・相馬鉄砲館のシダレザクラは,今月8日に開花し,今は葉桜の風情を見せている。当館の近所の武家屋敷の桜は,先月30日に開花し,今は息を飲むほどの新緑に輝いている。春は人に構わず,忙しく動き留まることがない。

 

当館の近所の武家屋敷

 

 夕方なじみの魚屋に行ったら,もう初鰹が売り出されていた。千葉県の勝浦漁港に水揚げされた鰹だという。鰹は 年初めにフィリピン近海から黒潮にのって台湾,鹿児島沖 へと北上してくる。そして青葉になる五月には、千葉県沖に達し房総半島の港々へ水揚される。「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」とうたわれる初鰹は,新緑の青葉の頃に山でほととぎすが鳴きだす時が,食べておいしい。未だ,ほととぎすの初音は聞かないから,この魚屋の鰹は房総物とはいえ,八丈島沖あたりで獲れたものであろう。

 

  

江戸時代には初物を食べる事が粋とされ,初鰹は女房を質に入れてでも食べたい魚として江戸人に珍重された。今でも「初物を食べると75日長生きする。」と年寄りがよく言う。江戸人の間では,初鰹は初物の中でも別格中の別格だったから,初鰹の御利益は他の初物を圧倒する。初鰹は750日長生きすると信じられていたのである。

 初鰹には,普通の初物の10倍の御利益があり,これを食べれば2年は長生きできるというわけである。尊敬する杉浦日向子大先生が「お江戸風流さんぽ道」でそう書いているから間違いはあるまい。疑り深いあなた!あなたのために注記しておく。(* ´艸`)クスクス

 

今日の夕方に買ってきた初鰹

 

  江戸時代,初鰹は一本二十万円もする超高級品だった。だがこれを食べれば2年は長生きできるとなれば,女房を質に入れてもという気持ちになるのも分からなくはない。私は,大日本ケチケチ教の熱烈な信者であるが,当然のごとく初鰹を買った。しかも私は江戸っ子と同じ見栄っ張りだから,初鰹を食った!食った!食った!とブログに書いて自慢するのだ。