時は春。宮城県丸森町にある金山城伊達・相馬鉄砲館の周辺でも桜が開花した。私はさくらを見ると宮城県出身の落合直文の歌を思い出す。
『緋縅(ひおどし)の鎧をつけて太刀はきて,見ばやとぞおもふ,やまざくら花』
さくらは,日本人を奮い立たせる力を持っている。
先日,厚木の火縄銃研究者から仙台鉄砲の名品を見せていただいた。私は,その中のさくらの象嵌がある鉄砲に魅せられてしまった。
いずれも名品の仙台鉄砲
下から二番目が名品のさくらの鉄砲
そのさくらの象嵌がある鉄砲は,仙台藩の支藩だった一関藩の鉄砲鍛冶清水久治の作ったもので,毛利伊勢守流砲術仕様の鉄砲だった。
毛利伊勢守流砲術仕様の鉄砲の特徴
銃床の象嵌も素晴らしい。このような腕の良い金工師が一関にいたということに私は驚いてしまった。桜の切株に接ぎ木した二本の枝に桜が咲いた構図は,戊辰戦争に敗れた仙台藩と一関藩の復興を願って作られたのかもしれない。
世の中の男性は,綺麗な女性を見ると興奮するものだが,私は素晴らしい鉄砲を見ると興奮して寝られなくなってしまう。だから私の健康のために,名品の鉄砲を見せないで貰いたいものである。