日本の珍銃・奇銃展と刀装銃の修理 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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 金山城伊達・相馬鉄砲館のある宮城県丸森町にも,やっと春が訪れた。今日は月曜日で休館日だったが,来月4月1日からの特別企画展の準備を行った。来月の特別企画展は,日本の珍銃・奇銃展と銘打ち,変わった鉄砲や珍しい鉄砲を展示予定である。午前中は,特別企画展のメインとなる刀装銃の修理をしていた。

 

修理中の刀装銃

 

 江戸時代後期,衝撃により爆発する雷管が開発されると,生火を用いる火縄銃は衰退し雷管式の鉄砲が主役となった。雨にも影響されず火縄を用いる必要もなく,瞬時に発砲可能な雷管は,鉄砲を劇的に進化させ,雷管と火薬そして弾丸が一つにセットされた薬莢の開発につながっていくのである。幕末から明治の初めにかけて,雷管を用いる刀装銃という面白い鉄砲が作られた。脇差の刀身の代わりに鉄砲を取り付けた仕込み銃である。これを,鉄砲でないと見せかけ、相手の油断に乗じて用いる隠し武器,いわゆる『暗器』であると説明する本もある。

 

            刀 装 銃 全長36㎝の担当タイプ

 

     ① 短刀の刃の部分に鉄砲が取り付けられている。

     ② ハンマーを起こした状態。その下の突起が引き金。

     ③ 引き金を引くとハンマーが雷管を叩き,弾丸が発射する仕組み。

       弾薬を押し込むサク杖は,鞘の中に納まる。 

 

 しかし,暗殺や護身用ならピストルを懐にでも入れておけば事足りる。おそらく,刀装銃は,金持ちの商人や御隠居さんのオモチャだったのではあるまいか。この刀装銃の拵えも茶刀風になっているところを見れば,茶席の座興にでもしたのであろう。

 うちのオッショウサンの話では,この手のものは,贋作や新物(あらもの)が多いということだ。こういうお金持ちのオモチャのような鉄砲は,買わないに越したことはない。