馬上筒とカービン銃 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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公式ハッシュタグ 令和6年3月14日 骨董品ランキング2位 

  日本の火縄銃での中には,騎馬に装備する全長50~60cmほどの,馬上筒と呼ばれる鉄砲がある。重量は1~2キロ程度と軽量であるが,現代の拳銃と比べたら,重いと言わざるを得ない。私のつたない経験では,馬上筒を片手で構えると,銃先がわずかに震え狙いをつけるのが難しかった。

 

写真提供 若旦那提供(インスタID) takenoko.no.yama

 

 〇〇定団でもおなじみの澤田平先生によれば,江戸時代に出版された「武道藝術秘傳圖會(ぶどうげいじゅつひでんずかい)」を検討すると馬上筒には,前述の外に長短二種類のものがあるという。一つは,全長30~50cmの短筒タイプ,もう一つは,70cmないし80cmから1メートルの長騎銃があるとしている。しかし,この検討分析には,私は素直にうなずけない。

各種の馬上筒

 

 長騎銃という概念は,西洋におけるカービン銃に似た概念だとすれば,馬上で専用に用いることを目的として取り回しやすいよう銃身を短くした銃ということになろう。しかし,歴史的に見て日本にカービン銃とおなじような概念があったということは証明できるのであろうか。また先生が苦労されて復刻された「武道藝術秘傳圖會(ぶどうげいじゅつひでんずかい)」にもそのような絵図は見当たらない。結論を言えば,私は長騎銃という概念を用いることに,大きな疑問を抱いている。

 私は,70cmないし80cmから1メートルの小口径の火縄銃は,子供用や女性専用,もしくはお座敷鉄砲と呼ばれる遊戯用の火縄銃と考えている。いまやネットオークションでは,1メートル以下の火縄銃を馬上筒として出品されている事例を多く見かける。このため,長騎銃という概念について,きちんとした結論を出しておく必要があるだろう。ちなみに私は澤田平先生の研究成果により学問的成長をさせていただいた者であることを申し添ておく。