悪意に満ちた偽物の鉄砲 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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 世の中には,偽物の火縄銃を作る悪い骨董商がいる。例えば,関流砲術仕様の銃身を探してきて,それを他流の銃床に載せて骨董市場に出してくる悪い業者がいるのである。 

 違う銃身と銃床を組み合わせた鉄砲は,もはや歴史資料とはいえない。新たらしく作られた偽物の鉄砲になってしまう。しかも,このような行為は,武器等製造法に違反する犯罪行為である。それだけではない。このような鉄砲には,ポンコツを組合せて大儲けをしようという人間の悪意が満ち満ちているから,そんな鉄砲には骨董的価値はないのである。値を付けろと言われれば「ゼロ円です。」と言わざるを得ない。そんな悪意に満ちた後家鉄砲を国立歴史民俗博物館ともあろうものが,その図録に堂々と乗せていたのだから私は驚いてしまった。それは同館が平成19年に発行した『武具コレクション』の63ページの次の写真の鉄砲である。

 

国立歴史民俗博物館の図録に載った偽物の火縄銃

 

 図録では,この銃身の製作者は,鉄砲鍛冶の『国友丹波』だとしている。この銃身に取り付けられた目当て(照門及び照星)は明らかに関流仕様である。しかも写真を見る限り,銃床の方は幕末期に製作されたと思われる田付流仕様なのだ。手に取って見ないと正確なことは分からないが,ひょっとすると現代になり新たに造られた銃床の疑いも捨てきれない。名工と言われた国友丹波がこのような鉄砲を作るわけがない。

 この図録に載っている鉄砲は,田付流の銃床に関流の銃身を載せた立派な偽物だ。 国立歴史民俗博物館たるものが,悪い人間が作った悪意に満ち満ちた鉄砲に騙されるとは,言語道断である。これでは,税金泥棒と言われても致し方あるまい。国立歴史民俗博物館は,国民に謝るべきだ。