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昨日,一か月ぶりに火縄銃の練習会が開かれた。この日,私が一番注目したのは,口径14 ミリ,全長が150 センチもある芝辻作の大鉄砲だ。銃身には陰九曜門が,火皿の下には鍛巻張と金象嵌され,見るからにとてもいい狭間筒である。
この鉄砲は,写真の会員が,一か月半もかけて尾栓を抜き取り,完全整備した鉄砲なのだ。整備の過程で二度ほど問い合わせがあり,「がんばれ,根気強くやればできる。」とアドバイスしておいた。しかし,内心では錆び付いた尾栓を抜くのは無理だろうと思っていたから,整備された鉄砲を見せられた時には,腰が抜けるほど驚いた。
この鉄砲の安全確認には,私も立ち会い,問題は見当たらなかった。昨年12月に火薬を少なめにして試射してもらったら,発砲音とともに筒先から真っ黒な煙が噴き出したのには,またまた驚かされた。黒色火薬の発射煙は真っ白なのに,目の前に現れた煙は,真っ黒だったからだ。火薬の燃焼エネルギーが,筒内に残っていた火薬残滓のタールや汚れを拭い去り,黒色火薬の白い発射煙を,黒煙に変えてしまったのである。どかんと一発,150 年以上ぶりのすす払いとなり,この火縄銃にかかっていた悪い魔法が解けたのである。
写真提供 若旦那 (インスタID) takenoko.no.yama
火縄銃には,バイクや自動車などのように分解整備する楽しみ方もある。古式砲術としての武道の錬成ばかりでなく,雨の日には,鉄砲整備で楽しめる
この鉄砲は,生涯学習としての火縄銃の魅力の広がりを私に認識させてくれた名銃である。お~い,KIさん,この鉄砲は名銃「くろけむり」と名付けたらどうだろうか。私の愛銃「あしかじま」より,よほどカッコいいと思うぞ。