福島県矢吹町の田舎料理 古宿 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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   「行列の弓もひききぬ蕎麦切は、矢吹の宿に名物の的」とか「名物に愛でてや人もきのえねか,ここは二股大根そば」と謡われた矢吹宿は,本陣や脇本陣を備え奥州街道の宿場町として栄えた。また、棚倉街道や会津街道の追分として山と海をつなぐ要衝でもあった。

 

          国道四号線沿いの古宿の看板

 

  福島県矢吹町で,大根そばを名物としている料理屋「古宿」は,田舎料理も看板にしている。

 

 

        暖簾をくぐると,古い民芸品がお出迎え。

 

先日訪ねた時は,川魚のハヤの唐揚げと味噌コンニャクが特別メニューになっていた。ハヤは,身がフワフワしているし,小骨が多い川魚だから,塩焼きにしたらあまりうまいとは言えない。高温の油で揚げ,唐揚げにすれば,水分が飛び骨まで食べられるだろう。内陸の矢吹宿では,川魚は貴重なタンパク源だったのだ。

 

 

   大根そばとともに頼んだ,天ぷらもそんな矢吹宿を感じさせる一品だった 。写真では分かりにくいが,この店の天ぷらの衣は,土色がかった黄色なのだ。おそらくゴマ油を加えた油を用いているのであろう。これも古い江戸の調理方だ。

 

 

天ぷらのタネで面白かったのは,山ウドの葉っぱである。口に入れると山ウド独特の鮮烈な香りが口いっばいに広がり,その後から品の良いほろ苦さが追いかけてくる。また自然薯を摺おろして団子状にしたのものであろうか。きれいな箱型に整えられた天ぷらも美味しかった。

 古宿が看板とする田舎料理とは,昔の江戸の味と山家の素材を組み合わせた料理のことなのであろう。古い宿場町を訪ねると,様々な気づきや新しい発見がある。これも旅の楽しみの一つである。