江戸時代の職人から木村花さんを思う | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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江戸時代の職人から木村花さんを思う

古い鉄砲を調べると,昔の鉄砲職人達の技について,考えることが多い。機械旋盤や優秀な工具がない時代に,一つ一つ手仕事で鉄砲を作り上げた技術や根気強さに,うならされてしまうのだ。昔の職人さんの経験や気持ちにふれたくて,鉄砲を分解したり磨き上げるたりして過ごすことが多くなったている。
この週末は何かと忙しかったが,先週は鉄砲を三丁分解して磨き上げた。その成果がこれだ。
 
全長160センチ  薩摩藩 狭間筒【長すぎるため機関部のみ撮影】
                         Bifor
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                         After
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全長150センチ  薩摩藩 狭間筒【長すぎるため機関部のみ撮影】
                      Bifor
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After
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鉄や真鍮を磨くのは,本当に大変だ。指の指紋がなくなるのではないかと思ったくらいだ。江戸時代は,ろくな研磨剤や工具がなかったから,砥石や砥草の茎,乾燥させた椋の葉,カワハギの皮などを使って研磨していたようだ。昔の職人たちは,本当に苦労して製品をつくっていたのだ。その根気強さを思うと,頭が下がる。でも,当の本人たちには,それが当たり前だったから苦労とは思わなかったに違いない。なにしろ10 歳前から,親方のもとで,頭を叩かれたり,どやし上げられたりして修業し続けてきたから,忍耐力や根性は,素晴らしかったのだろう。
 
 
 
 それに比べれば今の新入社員は打たれ弱い。少し怒れたくらいでヘコンデしまい会社に来なくなる人もいる。昔の人たちと比べるちと,現代人は打たれ弱くなった。逆にそれは人の痛みがよくわかり,優しい心を持ってるからだと思うう。優しいから,少しのことでも,逆に深く傷ついてしまうのだろう。
江戸時代の丁稚小僧は,頭を叩かれたり罵られたりして成長し職人になった。そうやって育つたから,人を叩いたり罵るのも平気だったし,今の人に比べ人に対する思いやりも少なかっただろう。
今はいい時代になった。優しい人が多い。ただ,優しい分だけ傷つきやすい。木村花さんの突然の訃報を聞いて,そんなことを思った。
 
木村花さんのご冥福をお祈り申し上げます。
つらかったね。もう大丈夫。合掌