山津見神社とオオカミ信仰 その12 ニホンオオカミの体形 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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ニホンオオカミの体形を考える。

ニホンオオカミは,山岳オオカミとして進化してきた ?

オオカミは肉食で,単独で狩りもするが,群れで獲物を追跡しこれを仕留めるという狩りを行う動物である。ものの本によれば,その追跡は数時間に及ぶことも珍しくないようだ。

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            写真引用 Wikipedia「オオカミ」より

しかし,山津見神社のオオカミ天井絵は,ニホンオオカミが長距離追跡能力に特化した身体を作り上げていたことを伝えているとは,私には思えないのである。
山津見神社の天井絵のオオカミは,前足の筋肉が極度に発達し,前足の肩が,角のように盛り上がって見える。

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例えば,強い四肢を持つヒグマは,静止状態で横側から見ると,前足の肩部分がラクダのこぶのように見える時がある。

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            写真引用 Wikipedia「ヒグマ」より

私は大雪や十勝連峰,知床連峰縦走で何度となくヒグマを見ているのだ。この天井絵のオオカミの前肩の盛り上がりは,誇張された表現ではないだろう。後ろ足の腿から付け根にかけての筋肉は,前足のそれよりもかなり太く分厚く,描かれている。

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一方,前足と後ろ足をつなぐ胴体は,あばら骨が浮き出すほどスリムに描かれている。

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山津見神社の天井絵が描くニホンオオカミのこのような特徴から,次のようなことが言えると,私は,考える。ニホンオオカミは,強い筋力を持つ四肢を持ち,瞬時に高速力を発揮でき,しかも獲物を一定程度の時間に渡り追跡できる能力を有している。しかし,スリムすぎる胴体など全体の体つきを見るとスタミナ不足,持久力不足を否めず,長時間にわたる長距離追跡は不得手だったのではないだろうか。

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これらを元に考えると,ニホンオオカミは,高速の襲撃により一撃で獲物を倒す猟を基本とし,それが不首尾だった時には,短時間の追跡により獲物の獲得を目指すが,長時間の追跡は行わなかったのではなかろうか。獲物が子供や弱っている個体の場合は別として,長時間追跡となる場合は,ほかの獲物の捜索に切り替えたと推測するのである。
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また,ニホンオオカミが,狐のような細い顔と長い首,そしてスリムな胴体を持つに至ったのは,日本の下草の密生した森で,獲物の追跡を行うために適応してきた結果なのではないだろうか。平野や平原が少なく,起伏の多い日本の国土が,山岳オオカミとしてのニホンオオカミを作ったのではないだろうかと,スブの素人の私は,そう考えるのである。