こんにちは大阪の荒井です。
前回は主に人間科学部の専門授業について書いたので、今回は教養の授業について書かせてもらいます。

知ってる人もおられるとは思いますが、大学は授業が選択できます。そしてその選択はかなり幅が広いです。選択肢は数え切れないほどあります。調べてここに書こうとも思いましたが、どれだけ時間がかかるかも分からないので、やめておきました。
しかも、必ずしも全ての大学・学部学科で、というわけではないですが、ほとんどの場合は、一週間に複数同じ授業を受けることはありません。毎日のように英語や国語の授業を受けていた身からすれば、かなり新鮮に感じるでしょう。僕はそうでした。

教養の授業は選択制なので、自分の好きなものばかり取ることができます。僕が受けてきた奴で印象深かったのを少し紹介します。

(1) 経済現象を読み解く
経済学的な名前の授業ですが、普通の数学の授業です。e とか sin とか cos とかが入ってる式の微積分、ちょっとした線形代数(行列)を半年でやりました。文科系と理科系の学生が一緒に受ける授業だったので、なかなか速度が速く、最後の方は理解がなかなか追いつきませんでした。Kernel とかよくわかりません。そんな感じで厳しい授業でしたが、なかなか楽しかったです。高校の文系数学ではさらっと飛ばした limit も詳しく見ることができたし、線形代数(行列)を扱うことの意義とかも垣間見れたので。

(2) 東洋の芸術
ひたすら文字通り、仏画を見る授業です。すごくマニアックだと思います。カバーしてる範囲は、奈良時代から江戸時代くらいだったように思います。実は僕はすぐに飽きてしまったのですが、毎回のように最前列へ座ってた熱心な人もいたように思えます。

(3) 「ものづくり」の接合と科学
大阪大学の、接合科学研究所というところの人が来て講義をしてもらえます。これが非常におもしろくて、『Newton』や『日経サイエンス』とかの科学雑誌を読んでいるような気分です。しかもそれより分かりやすいです。例えば前回は、全く普通な素材に特殊な機能を持たせるため、いかに加工するかというのをやりま
した。
例えば、ありふれた鉄の板に100ナノメートルの小さな穴を無数に開けると、断熱材になるそうです。熱が物質中を伝わるときは振動となるわけですが、100ナノメートルの大きさの穴は中の空気が振動できない大きさなので、熱が伝わりにくいというわけです。魔法瓶は板と板の間に真空を作ってそもそも振動し熱を伝える物質をなくしていますが、ここでは、振動できないほど小さな空間に空気を閉じこめてやって、熱の伝わりを邪魔しているのです。僕が書くとあまり魅力的に見えませんが、そういうのが好きな人なら楽しめること請け合いです。

(4) 日本の文学
浅田次郎の『ラブ・レター』を読み解く授業です。高校の授業では小説テクストの構造を読み解くということをほとんどしなかったので、すごく不満でしたが、やっとそれが解消されてゆく気がします。某全国共通塗りつぶし試験の「傍線部1の発言はどういう意味か、次の中から選びなさい」みたいなのとは違って、なぜ作者がそういう意味の発言をそこへ配置したのか、というのを考えたりします。そういう検討は全てのセンテンスに対して行われるべきだと個人的には思いますが、授業では重要(と思われる)部分ばかり扱うことだけがちょっと残念です。専門ではなく教養の授業なので仕方がないですけど。

こんな感じで四つ紹介しましたが、他にも面白い授業は山ほどあります。哲学や、都市とはいったい何であるのかを考える授業や、日本語の方言についてだとか。それに対して経済学や史学とかにはあまり興味が向かないので、そういう授業は全く取っていません。ああでも行動経済学(「神の見えざる手」的な完璧合理的な人間じゃなくて、実際の人間の経済活動を扱う。)はちょっとおもしろそうです。

あと教養の授業は単位を取るのが楽なので、少々マニアックなところでも、飛び込んでいけば何とかなるものです。
てか、教養がマニアックとは、そういえばちょっとおかしい気がしてきました。必修の授業こそみんなに必要なので、まず誰でも分かるところから始まります。
だからマニアックじゃないところから始まるのです。

収拾が付きませんが、そんな感じで、大学には沢山の面白い授業があります。