内向的社長の、日常ルーティンでの土台作りについて 杉本幸雄


朝の自由が丘の住宅街は、いつも静かだ。  

街路樹の影がまだ短く、光が斜めに差し込む。  
その光の中を、わたくし杉本幸雄(すぎもとゆきお)は、いつものようにゆっくりと高台を歩く。  

駅前の喧騒とは異なる、この住宅街の独特な緊張感が妙に心を落ち着かせてくれる。

こういう時間は、世界がわたくしを放っておいてくれる。  
それは、ホントにありがたい。  


内向的な社長というのは、放っておかれる時間がないと、どうにも呼吸が浅くなる。苦しくなるもの。
  
話すべき場面で、話すことも、
ここ一番のタイミングで経営判断を下すことも、コンサルティングで相手の本質を見抜くこともできる。  

ただし、
それらはすべて「静けさ」という土台の上でしか成立しないもの。



午前の自由が丘で、わたくしはいつも“土台”のことを考える

村上春樹さんの小説に出てくる主人公たちは、たいてい静かに生きている。  
必要以上に騒がず、淡々と、しかし自分の芯だけは手放さない。  
わたくしはその感じが好きだ。  

そして、内向的な社長が“静かに勝つ”ためには、あの静けさが不可欠だとずっと思っている。

わたくしの人生目的は「強くて優しい人を増やす」こと。  

強さとは、
声の大きさではなく、自分のマイペースを守って、静かに積み重ねる力のこと。  
優しさとは、
他者を支配しないまま、見守り、必要最小限の本質的な寄り添う姿勢のこと。  

この両方を育てるには、やはり静けさが必要になる。

20年以上ひとりで経営コンサル会社を続けてきた。  
2万件以上のコンサル指導セッションを行い、16年間毎日ブログを書き、6冊の本を商業出版した。  

これらはすべて、
静かな午前の時間に支えられている。  
わたくしは、静けさの中でしか本質を抽出できない体質。



内向的社長が“静かに勝つ”ための土台は、意外とシンプル


歩きながら、わたくしはいつも3つのことを確認している。

-1. 静かな環境を確保すること  

  これはわたくしにとって、酸素のようなものだ。  
  静けさがないと、観察力も集中力も鈍る。  
  午前の自由が丘は、ちょうどいい。


-2. 自分のマイペースを守ること  

  他人の速度に合わせると、内向的な人間はすぐに疲れる。  
  わたくしは毎朝、部屋から空を観察し、ブラックコーヒーを飲み、言語化のルーティンをこなす。  
  そのペースが、わたしの土台を支えている。


-3. 準備を徹底すること  

  内向的な人間は、準備さえすれば強い。  
  コンサル指導セッションに対する毎回の予習、会議や打ち合わせに向けての事前思考、コミュニティ運営のための徹底した準備と練習。  
  これらの準備が、わたくしを不安から解放し、成功へと導いてきた。


これら3つが揃うと、
内向的な社長は静かに、ちゃっかり勝てる。  
大声を出す必要も、派手な戦略を振りかざす必要もない。  
ただ、静かに積み重ねればいい。



静けさは、わたくしにとって「勝つための前提条件」


駅前から、自由が丘の坂道を上りながら、ふと思う。  
わたくしはこの街の静けさにずいぶん助けられてきた。  
朝の光、まだ開店前の店の匂い、遠くで聞こえる電車の音。  
それらが、わたくしの思考を深海のように沈めてくれる。

内向的な社長が勝つための土台とは、  
結局のところ
「静けさの中で、自分の軸を磨くこと」なのだと思う。

それは、
夏目漱石の云う自己本位という意味合いに近い考えで、一般的なネガティブな自己本位とは、全く違う。


他人の声より、自分の声を聞く。  
世間の速度より、自分の速度で進む。  
派手な勝利より、静かな継続を選ぶ。

そういう生き方が、わたしには合っているし、  
同じように静かに生きたい人たちの役にも立てる。



午前の光が少し強くなってきた。  
コーヒーはもう冷めている。  
それでも、わたしの中にはあの静けさが残っている。  
今日もまた、静かに勝つための一日が始まる。  

そしてその静けさこそが、わたしの人生目的――  
「強くて優しい人を増やす」ための、揺るぎない土台になっている。