ビッグマックの向こう側に企画立案の地図が見える 





 わたくしの名前は、杉本幸雄(すぎもとゆきお)。 

 どこにでも転がっていそうで、そんなにない氏名だ。 


 ただ、わたくし自身は、
どこにでも転がっていそうな人間ではない。


 陰キャであることに、おおいに誇りを感じている。
人混みは嫌いだし、飲み会のような場所は、できるだけ避けて人生を歩んできた。

そういう場所に行くと、焦燥感を覚えるのだ。時間、健康、お金、つまらない話、、、


 そんなわたくしが、二十年ほど前に経営コンサルタントとして法人を立ち上げた。
気づけば、一万人の起業家や経営者と向き合い、
二万回のコンサルをし、
累計で百十億円ほどの売り上げづくりに関わってきた。


 数字だけ見れば、
ずいぶん社交的な人生を送ってきたように勘違いするだろう。


 でも実際のところは、わたくしの生活は静寂そのものだし、地味だ。

 ほとんどの時間を、ひとり布団の上で過ごす。
コーヒーを淹れ、
静かに考え、
さらにまた考え、
ときどき深いところからため息が浮かび上がる。
そんな日々の繰り返しだ。


 わたくしがビジネスをしている目的は、ひとつだけ。
日本に「強くて優しい人」を増やすこと。

強さと優しさは、コインの表と裏みたいなもの。
お金に余裕があれば、許せる範囲が広がる。
許せる範囲が広がれば、人は自然と優しくなる。

だからわたくしは、
まずクライアントをお金持ちにする。
それが、わたくしの社会貢献の方法だ。誇りがある。 


 さて、今日わたくしが語りたいのは、
もっとも地味で、もっとも実務的で、
しかしビジネスの根幹を支える「企画立案」の話である。


 ■企画立案は、ビッグマックのように組み立てるといい


 気難しいクライアントをかかえるコンサルタントにとって、
企画を次から次に立てるというのは、思っているよりずっと難しい。 


企画立案、 材料がなければ、ただの思いつきにすぎない。
思いつきというのは、風に飛ばされたレシートのようなものだ。
気づけばどこかへ消えてしまう。


 だからまず、事実を集める。 事実ベース。感想や解釈はあとでいい。
事実だけを静かに並べる。 事実ベース。


 それは、冷蔵庫の中身を全部テーブルに出してみる作業に似ている。
わたくしは、大学生の時にマクドナルドで清掃のアルバイトを経験している
。店内をくまなく観察した。冷蔵庫も厨房も、ごみ箱も合流性そのものだったことを覚えている。

冷蔵庫にあるのは、食材そのものだ。
でも、そこから全てが始まる。


  問題は、このあとだ。

 どうやって企画を組み立てるか。

20代のある日、ふと思った。
「企画立案は、マクドナルドみたいに考えればいいんじゃないか」と。


 マクドナルドに行くと、わたくしはだいたいビッグマックを注文する。
ビッグマックが特別好きというわけではない。むしろ、身体に悪い。でも、 オーダーしやすい。マクドナルドの良いところが集まっているから。

複数枚のパティ、両端と真ん中のパン、チーズ、ピクルス、特製ソース。
世界のどこへ行っても、ほとんど同じ味がする。 


 サービス提供において、こういう安定感は貴重だ。 


 企画立案も同じだ。
まずメインを決める。
「何を中心に据えるのか」
「どれくらいのボリュームが必要なのか」
それが決まれば、サイドメニューやドリンクは自然と決まってくる。

ポテトをつけるのか、枝豆サラダにするのか。
コーラか、アイスティーか。
あるいは、デザートまでつけるのか。


 企画も、こうやって階層的に組み立てるとスムーズに進む。
これが、わたくしのいう【マクドナルド論法】だ。 


 そして全体がうまくまとまるなら、
「セット商品」にしてしまえばいい。
パッケージ化というやつだ。



 ■動画マーケティングのコンサルを例にすると 


 たとえば、TikTokやYouTubeなどの動画マーケティングのコンサルをするとき。

 わたくしはまず、目的を決める。
目的が決まらないと、視座も具体的な指導項目も決まらない。


 目的というのは、企画における本質的欲求だ。
満腹になりたいのか、味を楽しみたいのか。
あるいは、ただ静かに考え事をしたいのか。
恋人のAと一緒に過ごせればそれで満足なのか。

人の目的というのは、案外シンプルで、でも曖昧で、しかし確かなものだ。 


 パティがなければ、ただのパンだ。
パンだけでは、ほとんど誰もマクドナルドでは満足しないだろう。 


 目的を決めたら、出口となる結論をいくつか考える。
出口が複数あると、道筋も複数見えてくる。
どの道がスムーズで、どれが険しいかがわかる。


 企画というのは、地図を描く作業に似ている。

そして、ある瞬間に気づくのだ。
「動画マーケティングのコンサルをするなら、動画制作そのものも受託したほうがいい」
と。

制作工程を理解していないと、コンサルテーション指導の精度が落ちる。
制作を受託すれば、客単価も上がるし、成果への影響力も強くなる。 


 つまり、動画の企画制作からマーケティング指導までを一貫して提供するほうが、
クライアントにとっても、自分にとっても合理的なのだ。

これは、ビッグマックにポテトとドリンクをつけて、
「バリューセット」にするのと同じ。
単品よりセットのほうが満足度が高いし、
店としても売り上げが安定する。



 ■企画は、静かに積み上げるものだ


 世の中の多くの人は「すごいアイデア」を求めすぎる。
でも、すごいアイデアなんて、そう簡単にはない。
ビッグマックだって、最初からビッグマックだったわけじゃない。
シンプルなハンバーガーから、
誰かが試行錯誤して、
「この組み合わせならいける」と思ったのだ。


 企画立案も同じだ。

 組み合わせを考え、順番を整え、
必要なものを必要なだけ足していく。
そうすれば、自然と形になる。


 今日もわたくしは、コーヒーを淹れながら、
そんなふうに売上加算のための企画を考えている。
マクドナルドのトレイの上に並ぶ、
あの整然としたセットを思い浮かべながら。 


 そして静かに思う。
「企画立案は、マクドナルド論法を使えばスイスイ進む」
と。


 ■まとめ

 - 企画は「思いつき」ではなく、事実を並べるところから始まる 


 - 目的を定めれば、手段のメイン(核)、サイド(周辺要素)は自然に決まる


 - 目的は感情、構成はパティやバンズ、サイドやドリンク、全体はセットとして成立する


 - 動画コンサルのような仕事も、制作まで含めて一貫提供すると合理的


 - 企画とは、派手なひらめきではなく、静かな積み上げの結果として形になる 



 「マクドナルドの向こう側には、いつだってひとつの地図が広がっている」
ということだ。

必要なのは、その地図を静かに読み解くコンサルタントの思考力だけなのだ。