前記事続きです。


時間前に到着してしまって、ギャラリーの周りをうろうろ。吉祥寺は大昔に数年住んだことがあり、懐かしくてつい通りを見たりしていたのだ。

そうしたら後から来た方4、5人が出入り口の近くに待機してしまい、私の入場はその人たちより後になってしまった。むろん私は離れてたんだから当然である。


で、入って知る。

原画展だから、いろんな作品のいいシーンの原画がチョイスされて置かれていると思っていたんだけど、この展示はちょっと違うものがあった。

縦に四つ、別々の物語の原画が提示されている。そしてそれぞれの横に次のページが並べられていて、それが続くのである。

つまり、歩いていくとストーリーが読めるのだ。


(こんな感じ)



一番上が「ワン・ゼロ」、二番目が「金星樹」、三番目が「夢見る惑星」、一番下が「夢喰い」。あ、でも二番目と三番目は逆だったかも(記憶曖昧)。

「金星樹」と「夢喰い」は、作品全部が展示されていたから、結構なページ数である。


最初は前の人がゆっくり歩いていたので、縦に四つの作品のページを追っていた。けれどだんだん頭がとっ散らかってきて、結局一作品ずつ見ることにして会場を四周した。


で、意外だったのが、「佐藤先生、無茶苦茶正確に描けるのね」ということ。

割とキャラクターの髪の毛とかバラけてたり跳ねたりしてるの、あれ、描画が不安定なのかな?とか思ってたんだけど、原画で見ると違う。細い線で描くから、印刷で微妙に潰れてしまうのかな?印刷物より原画の方が絶対いい印象を受けた。

特に「夢喰い」の仏像とか魔物(?)とかの絵の安定度が気に入って、そういう系統の絵の方を中心に撮影してしまった。コミックスで読んでいたときは、キャラクターの方を中心に見てたんだけどね。



そして、漫画のいいシーンの一ページだけや表紙絵の原画の掲載もむろんあった。前記事のカラーイラストの写真はそういうものである。懐かしい。が…。


実は私が佐藤史生さんを気に入ってコミックスを買い出したのは「ワン・ゼロ」からで、その後の作品は買って読むようになったんだけど、今回の展示物はそれ以前の方が多いのである。「やどり木」とか「楕円軌道ラプソディ」とか、好きなんだけどなあ。

ただ、佐藤先生の代表作は「夢見る惑星」、次は「ワン・ゼロ」だから、その前後になるのは仕方がないとも思う。その頃の絵に力があった可能性も否定できないしね。


ただ、私は実は「夢見る惑星」はあまり好みじゃなかったのである。嫌いってわけでもないけど。

私、この人の作品の登場人物の、ちょっとクールなモノローグを読むことが好きなんだけど、「夢見る惑星」はモノローグ少なめだし、あっても時代がかっていて、ちょっと趣味と違っていて(真面目に読んでないので違ってたら失礼!)。

いい作品なんだろうなと思いつつ、距離を置いていたのだ。七生子シリーズは読んでいたというのに、である。


で、その「夢見る惑星」が展示の中心なので、割と冷静に見ることになってしまった。結局売ってたポストカードも一枚しか買ってない(しかもそれは知り合いに送る用である)。

と、書くと楽しんでないみたいだけど、十分浸ってはいた。ワン・ゼロの方は好きだしね。



で、会場には佐藤史生さんのものだけではなく河出書房関係の他の漫画家のものも売られていて。

萩尾望都の「一度きりの大泉の話」の本が置いてあったのを見て購入するかどうかしばし考えた。


一度は読みたいと思っていた本である。探す手間がないのだからここで買った方が手っ取り早い。と思いつつ、気分が暗くなりそうな、いつまでも手元に置いておけない本という印象を持っていて。

結局、今回は諦めた。図書館にあるだろうから、そちらにしようと思ったのだ。




それ以外にも、他の漫画家さんの売れ残りのTシャツや手拭いなどがあった。

木原敏江グッズは買うかどうか迷った。とはいえ、私「摩利と新吾」より、ドジ様なら女性の絵の方が好きなもんでこれも諦める(「夢見る惑星」や「摩利と新吾」否定って、私って漫画家のメインストリームに乗れないタイプ?)。


ということで、漫画四作読んで、グッズをチェックして(複製原画は手が出ると思わなかったので無視)、それで終わりだったけど、充実した時間だった。