プリンスアイスワールド4月29日昼公演に行ってきた。むろん最大の目当てはかなだいの新プログラムである。






公演が始まってすぐ、かなだいの演技のカケラの動画がネットに上がった。帰省の電車の中だったので音無しで見たときの印象は、「大輔さん、女をしてる?」だった。別に女らしいことをしているわけではないが、なぜか男性ではなく女性寄りの印象を受けたのだ。



で、その後その動画の再生はせず、頭にそのイメージがわずかに残った状態で公演に行き、かなだいの「Symmetry」の演技を観た。

最初からしばらくの間の大輔さんの印象は、やはり女だった。女らしさがあるわけではない。が、男らしさもまとっていない感じなのである。


ネイルして、美肌に励んで、可愛くてポワンとした印象をメディアでも出すようになっていたのと地続きの動きなのかな?つまり、男性ジェンダーを脱ぎ捨てて自分の心地良いと思う状態を選んだ。そんな生き方をしたら女性達の雰囲気に近づいてしまったということかしらん。

…と、後から振り返って思ったりもする(演技見ている最中にはここまで考えられない)。




かなだいが組んでから、二人の演技のうち大輔さんの方を堂々と集中して見るというのを、実は初めてやった気がする。

「オペラ座の怪人」は大輔さんが主役とズエワコーチは言っていた気がするが、ファントムが花開かせようとしたクリスティーヌの美しさも観てなんぼ、目移りしてなんぼ、と心のどこかで思っていたのである。

しかしこの「Symmetry」に関しては、衣装からして大輔さんの方が暗いショーの照明の中で目立つ白である。黒は女性を美しく見せる色だけれど、哉中さんの黒の衣装の作りは、パートナーより目立つ狙いにはなっていない。

ということで完全に大輔さんの方にフォーカスする。それでも、哉中さんの美しい肢体の魅力はきちんとこちらの視野に飛び込んでくる。


そのうちに最初の「大輔さん、女をしてる?」という印象は消えていった。

パートナーを抱え、動かし、その中でもブレない体幹の安定さに、(他者を支えられるだけの)強さがある人間の優しさみたいなものを感じる。とはいえあれだけたくましい上半身を見せながら、男性性が感じられるかというとそれほどでもない。

一方でスケートのスピードの中で肢体を伸ばし体を張る哉中さんに、傷つくことを恐れない蛮勇のような強さを感じたりもした。




大輔さんと哉中さんの二人がかなり距離を空けて、同じ(苦悩の)動きをするときがあった。

両者を同時に目に入れて観ている人はほとんどいないと思う。何せ私、ロングサイド二階席最後列なのに、それでも片方のスケーターを見ようとするともう片方は視野のぎりぎりか外れるかくらいになっていたのである。

この、観客が一目で捉えることが出来ない位の距離にも、なんらかの意味があるんだろうな。




そして、あっという間に終わってしまった。

「テレビ放送してくれ〜」と思う。何回か見直したい。

お披露目された新プログラムを見返したいのはいつものことである。

しかしこの、男性が男性の機能を発揮し(自分の体を揺るがせず安定した形でリフトする)、女性が女性の機能を発揮する(相手に抱えられる状況で鮮やかなポーズを決める)、そんな技を示しながら、それぞれ男女というしばりを超えているような世界観は、ちょっと他ではなかなか観られないようなものだし。

そして、私はもともとそういう、男女のしばりを超えた両性具有的存在が好きなのである。



録画するとしたら、フレンズオンアイスで滑ってくれるのを祈るしかないのかな。私はJSPORTSに入ってないもんで。