世界選手権、まともに見ていない。時間がないのだ。
テレビは付けたけれど、生協の注文のためにカタログを見ながら、途中途中で手を止めて少しだけ観るというとんでも状況。
子の学費を稼ぐため、バイトはじめたら休みの日の余裕もなくなったという。
それでも、やはり好きな選手は手を止める時間が長くなる。
昌磨くんのフリー。
やっぱり、以前頭の中に出てきたイメージが湧いてきた。
冒頭でジャンプ失敗があったから、それから少しの間は出てこなかった。しかし曲がスローに変わったところで、宇宙イメージが浮かんでくる。
一人宇宙を旅する男。孤独な生活のように見えるが、しかし彼自身は心静かに、遠くにいる同胞と繋がっていることに満ち足りて、探索の旅を続けている。そんなイメージ。
そして、「ああ、昌磨くんは一人なんだ。」と思う。他の選手達とは一人違う感覚で競技の世界にいる。しかしながらその一方で、他の選手達を仲間だと、繋がっている存在だと自然に感じている。だから彼は孤独さを身にまとってはいないのだ。
不思議だよなあ、音楽に宇宙のイメージはないのに、なんで私の頭は勝手にそういうものを引き出してくるのだろう。
むしろショートプログラムの方が、宇宙を舞台にした映画の曲じゃなかったっけ?
ふと、ショートプログラムの歌のフレーズを思い出す。
「I love you I love you I love you ..」
あ、そうか。
一人の世界にいると感じながら、胸を刺すような孤独のつらさのイメージが浮かばないのは、彼が「I love you」と演技で語っているからかも。
「you」、つまり、自分の周りの人達、その素敵さを自分の心に入れて、それを演じる形で返している。
って、そんなの、他人の私がわかるわけないこと。単なる妄想だ。
ただ。
冒険の旅の中で新しいものを見つけて目を輝かせ、その報告を地球に対して発信する、そんな宇宙飛行士のイメージを私が連想していたのは事実だ。
一人で。
でも他の競技者とも繋がっていて。
そして観客にもファンにも思いはあって。でもそれに依存してはいない。
与えられるのではなく、与えることを志向しているから。
そんな感じなのかな、なんて思ってしまった。