以前こんな記事を書いていた。

全日本選手権フリーダンス、ジャッジ毎の演技構成点(上位二組)

全日本選手権2021アイスダンスの結果が納得できず、フリーダンスの演技構成点について調べたものである。
結果、演技構成点のジャッジ毎の得点のばらつきが小松原組は大きく、村元・高橋組が小さいということが分かった。
そして以下のようなことを当時の私は書いている。

<引用>
私個人は小松原組については、「前年の全日本選手権の小松原組の演技と比べて」点を出したジャッジと、そうではなく「ワルシャワ杯について予習して獲得した評価基準を元に」点を出したジャッジがいたため割れたのではないか?と想像している。あまりに村元・髙橋組に対する得点が集中しているだけに、ばらつきに「二つの基準がある」ように感じられてしまったのだ。
<引用終わり>

ぶっちゃけたことを言えば「一部のジャッジは小松原組については目の前の演技についてではなく、前年度の全日本選手権の演技をベースした点に少し上乗せした点を付けたのでは?」と思ってたのである。
とはいえ、大輔ファンの私がそんなことを書いたところで、贔屓の引き倒しとしか思われないのではと考え、そこまで書かなかったんだけどね。
それに、二者の比較というのはどうしても客観性に欠ける分析になることが多いということも知っていたので、そこに主張を絡ませるのはあまりいい手でないと思ったのである。

で、そのときからずーっと思っていた。「三組以上のデータを比較して、より客観性のある視点でチェックをしてみたい」と。
しかし昨季の全日本選手権のアイスダンスは明らかに二者が抜けていて、三組目を入れてもデータの参考になるとは思えず、二者の比較にせざるを得なかった。

そしてようやく今季、念願の「三組のデータチェック」が出来る機会が訪れたのである!



まずは三組の表を作った(順番はフリーダンスの順位から)。




そしてレーダーチャート。




予想も何もせずにグラフを作り、比較してみて軽くショックを受ける。

やはり、小松原組の得点のばらつきが大きかったのだ。言い換えると、中央の三角部分が小さい。全日本選手権2021と同じような状況になっていたのだ。




一応ジャッジ毎の点の最大値-最小値の表も作ってみた。




左側が単純な最大値と最小値の差である。
そして右側は、皆さまご存知の通り、得点計算の際は最大値と最小値はそれぞれ一つずつ除外される。
その除外されなかった得点の中の最大値と最小値の差が右側の数値である。
こちらを見てもばらつきが大きいのは小松原組である。



やっぱり、一部のジャッジは「それまでの全日本での実績をベースにした得点」をしているのではないだろうか。一方そうじゃないジャッジもいて、そのあたりのズレが得点のばらつきを産んだような気がするのである。
言い換えると全日本選手権の一部のジャッジは、「世界標準」からズレている可能性がある。
そう推測している。



ところで。
得点を見て「なるほど、素直に小松原組を世界選手権代表に出来なかったわけだ」と、改めて思った。
小松原組の得点のばらつきが一番少ないのは、Skating Skillsである。
そしてその一番ばらつきが少ない、つまり、それぞれの全日本ジャッジが一番一致しているコンポーネントの小松原組の得点は、上位三組の中で一番低いのである。
世界標準に一番近そうなコンポーネントの点が取れないって、それ、世界で通じにくいカップルということだよねえ…。
(しかも本来ならベテランが一番点が取れそうなコンポーネントである。)



真面目に、四大陸選手権の結果で世界選手権代表を決めるのが、一番いいやり方のような気がしてきている。