NHK杯のジャッジが今回辛すぎた問題。
日本のファン界隈では、男子シングル選手のファンが多い上、優勝と二位を分ける局面に関わったため、こちらについての話題が多いようである。
ただ、私はその前の女子シングルフリーを見ているときの方にストレスを感じていた。実を言うと新型コロナワクチンを木曜日に打ったもんで、金曜日は熱を出してテレビを観ることができず、体調回復していきなり見たのが女子フリーだったのである。
初見でいきなりこの状態を目にしたのだ。
そして、TESカウンターが半分以上黄色く表示される演技を複数見ているうち、だんだん演技に集中出来なくなっていった。
私はいまだにジャンプ音痴ではあるが、それでも、目の前の演技のジャンプが、今までの試合で見てきたものと比べて劣っているとは感じられなかった。
そしてそれ以上に気に触るのが、一度ちゃんとグリーンになったあと、黄色に変わることである。それも即座に変わるとは限らず少し時間が経ってから、言い換えると、既に次の要素がグリーンになっているのに、その前の要素が黄色に変わったりするのだ。
目の前の演技、その一つ前の要素までは頭にあるけれど、そのもう一つ前まで人間、思い起こして判断することなど出来はしないし、してしまったら今の行われている演技の方から気持ちを離すことになる。「えーっ、変だったっけ?そうは思わなかったんだけどなあ。」という、なんとなく面白くない気分になる。そしてそれがなん度も繰り返される。一人の選手の演技の間に複数回あったりもするのだ。
だから観戦しててもいつもと比べ、ストレスが溜まってくる。
演技に浸れないのだ。
「緑色が後になって黄色になるということは、ジャッジじゃなくてテクニカルパネルあたりが判定変えてるってこと?」
ジャッジ関係良く知らなかったりするんだけど、確かテクニカルコントローラーといった人たちがパワーを持っていることくらいは聞いたことがある。それなのかな、と思う。
演技に浸れないので、このジャンプが緑のままか黄色に変わるかを判断なんてことをしはじめる。普通の私はそういうことしないからジャンプ音痴だというのに。
なんとなく重たい印象のジャンプだと黄色になるねえという程度の判断はついたが、それも外れることもあり、すっきりしない。そもそも私のニンに合わないし。
そんな感じでストレスを溜めながら見たもんで、青木祐奈選手の「She」が女子フィギュア的な音楽と演技で良かった(振付のミーシャ・ジーが見つけてきたんだろうか?この曲)というのと、アメリカの金メダリストがキレイというの以外、女子フリーはあまり記憶に残らなかったのである。
で、男子シングルも点数がしわいの気になったんだけど、流石に男子なので女子よりは高さのあるジャンプがぽんと出てきてスッキリする。だから多少ストレスは減った。
それに、ブリッチギー選手を気に入ってしまって(笑)。
おかげでTESカウンターをあまり気にしない、鑑賞モードのスイッチが入った。
なので、昌磨くんや優真くんの演技についてはストレスなく観ることができた。
点数計算なんかも私はしない人だしね。
で、その後、昌磨くんの四回転に色々記号がついてGOEがないぞ〜という話は、後からネットで目にして、あらあらー、となってしまったのである。
で。
このNHK杯のみ採点が辛すぎる件、日本のファン層は男子シングルの方が多いので、そちらが話題になるのは分かるし、それは正しくもあるのだろうけれど。
自分の感覚でいうと、女子シングルの方がよりやばい話じゃないか?という気持ちがある。
つまり、高難度四回転ジャンプというのは、ここ10年くらいの新しい要素だよね。採点基準に揺れがあっても、まだある意味仕方がない、トライアンドエラーが必要かもしれない?と考えることもできる。
しかし女子の三回転ジャンプはそれよりも長い期間実施されてきた、定番の練れた技術のはずである。それがある試合に限って、突然ブレるってどういうことよ?と思うのだ。そこは安定させるべきだし、変える場合はきちんと競技全体で変えるべきことなのでは、と。もうトライアンドエラーするべき局面でもないでしょう?と思うのだ。
演技者は素敵だったし、会場の観客の声援も良かったし、NHK杯らしいいい雰囲気だったのに。
ジャンプ判定のせいでストレスが溜まったことが、実に残念な試合だった、と思ったのである。
<2023/11/27追記>
松原孝臣さんの記事を貼っておきます。宇野選手についての話からはじまっている記事ですが、今回のNHK杯のジャッジについて冷静にきちんと問題点を指摘しているのが素晴らしいと思いました。
<引用>
これまではクリーンとされていたものが回転不足とされるなら、シーズンを通して競われるシリーズの大会で基準が安定しなければ、選手や指導者が目指すべき演技の拠って立つ土台が崩れることになる。ジャッジする側は、安定させるためにどこまで努めてきたのか……。それは選手の払う努力に見合うレベルであったのかどうか。
これまでもフィギュアスケートであげられてきた課題が、あらためて突きつけられる大会となった。
<引用終わり>