一月恒例。

全米選手権における高得点と、それに対する日本のスケオタのザワザワ。


「アメリカは高得点を出して、世界選手権に向けて自国の選手をアピールしている、一方全日本選手権は辛口。日本も世界選手権に向けて辛口をやめてアピールすべきでは?」という論評が出てくるんだけど。

この「世界選手権に向けて」というの、本当なんだろうか?とこの頃思っている。

だって、アピールしているアメリカは昔ほどの成績を出しておらず、一方辛口の日本の方が成績良かったりするもんで。

ナショナルの高得点、世界選手権で評価されているようには、私には思えないんだよね。

ネイサン・チェン選手だって国際試合で頭一つ(以上?)抜けた点で勝ち続けたから評価されていたんだし。全米の結果がそれほど影響しているかは疑問だと思う。





で、いつの頃からか思うようになった。

全米選手権のアピール対象は、世界のフィギュア関係者ではなく、自国の人間に対してじゃない?と。


そもそもアメリカの人間からすれば、スケートといえばまずアイスホッケーである。「アメリカの四大スポーツ」と言われているくらいだ。フィギュアスケート競技はその陰で細々とやっている程度のもの。

つまり、おそらくアメリカのスケート連盟自体がアイスホッケー中心に動いていると思われる。


なので、フィギュアスケート関係の人間は、年に一度の自分たちがコントロールできる試合を、スケ連の他の部門やマスコミに対するアピール場所として活用しているのではなかろうか。「この競技にもこれだけすごい選手がいるんですよ」と。スポンサーを探す必要がある選手もいるだろうしね。





で、そんな風に思っていたので。

一部の羽生ファンが「アメリカスケート連盟は羽生くんの人気を見て、自国でもスターを作り出すために、不当に羽生選手sageネイサン・チェン選手ageするよう競技運営側に働きかけた」とか言い始めたの、アホなこと言ってるなと思ってた。


アメリカで男性フィギュアスケーターがスターになるわけないよ。あそこは女子中心主義だ。

2014ソチ五輪の後「ここのところのアメリカのフィギュアは低調だ」という話が自国から出て「何をいう、アイスダンスが金メダル取っている」とフィギュア関係者から反論がでたことがあった。要は「女子スケーター」が勝たなければ評価しないのがアメリカの一般人なのである。


男子が金メダル取ったところで「彼はすごいね」で終わりだと思う。氷の上のスターは自国のアイスホッケー選手がいるのだから、それ以外の需要はあまりない。

アメリカというのは、イギリスのジョージ王子がバレエを習っているのを、ニュースキャスターが茶化して炎上する国である。



つまり、美を作り出すことに熱心な細身の優雅なタイプ(しかもここのところ活躍しているのはアジア系)は、アメリカのもっとも望ましいとされる男性像からズレている。男子フィギュアスケーターをカッコいい存在として受け取る人は少ないだろう。

(アジアの細身で美しいBTSがヒットしたということは少しは変わってきつつあるんだろうけど。しかしBTSがグラミー賞を取ってないところに、まだそういう嗜好はマイナーなんだという印象も受けた。)

そんな土壌で、金メダル取ったくらいでスターを作りだせるとは思えない。何せネイサン、北京五輪後はスケート続けるかどうかすらわからない人間でもあったわけだし。

労力払っても無駄になる可能性が高いのに、そんなことするわけないじゃん、と思っていたのである。



フィギュアスケートはマイナー競技だ。

そういう競技が注目を集める場の一つとして全米選手権がある。アイスホッケー選手だって、リンクメイトが滑っているとなれば少しは興味は持つだろう。そういう地味だが着実に可能性がある競技会なのだ。

だから頑張って盛り上げているんじゃないだろうか?と私は思っているのである。