全日本選手権のショートの会場で、髙橋大輔選手の得点を見たとき、笑いたくなった。
技術点24.53、演技構成点42.42。相変わらずのPCSモンスター。

常々尊敬の念を持ってフォローしているFigure Skating Charts(@bigfanofskating)さんのツイートを見てまたも笑う。
トップ5の比較に割って入るショート14位の選手の名前。

曲がりなりにも存在感を残す男。



そして、フリー。
ステップとコレオがトップ。

全体でも演技構成点とステップに名が挙がり。

フリーの演技構成点も3位。


爪痕を残したというべきか、これも一つの勲章というべきか、なんて思っていた。
髙橋大輔選手は、「世界一のステップ」と称され、稀有な表現力の選手とも言われた。しかし、本来それだけの選手ではない。ジャンプもあり、元々は苦手だったスピンも得点を取れるようになった、ホールパッケージの選手だった。
ただ、時の流れがいやおうなく、一度得たものを押し流していった。
最後まで手の中に残っていたものがスコアに記録されたんだな、そう思っていた。


朝のニュース。
"高橋大輔「もうシングルで戦うのは無理だな」と痛感…アイスダンスへ「次に生きる」"

<引用>
そして「もうシングルで戦うのは無理だなと改めて今回の試合で感じた」と続けた。偽らざる気持ちだろう。
<引用終わり>

「シングルで戦う」のは無理。その言葉が、スコアの意味をひっくり返した。
まだ手元に武器がないわけではない。戦えないわけではない。残った武器で戦える戦場を選べば。そういうこと?
いやもちろん、長年滑りと表現を磨き続けてきた世界のアイスダンサーたちの間に割って入れるような、それほどの武器かどうかは分からない。
ただ、戦えるかもしれない、やってみなければ分からない、そんな数字には思える。

やっぱり、競技の場に戻った以上、目標を下げていかなければいけない状況より、上げていける状況の方がいい、そういうことかしらん?

爪痕かもしれない。勲章かもしれない。
でもそれ以上に、まだ武器として使えるかもしれない?スキルがある。
そちらの方が、髙橋大輔という人には重要なのかもしれないな。