それでは、続いて、社台SS見学記の後編です。

 

1番奥の馬房から、3頭を。

最初は、種付けを中止しているキングカメハメハです。

 

 

名馬たちの訃報が続く昨今ですが、少し前から驚いているのは、競走馬の老衰による死亡の年齢幅が非常に広いこと。

30歳近くまで元気に過ごしている馬が多い反面、マーベラスサンデー、キングヘイローのように20代前半でも衰弱して死に至るケースも最近目立ちます。

 

キングカメハメハ自身はまだ18歳ですが、体調を崩してからもう5年以上になりますし、見学する度に厳しいのかな…と心配になる程。

ただ、80頭程しかつけなかった年からレイデオロが出ていることも有り、牧場の期待は依然高いようで、種牡馬としての活動を再開する可能性はゼロではないようです。

口を挟める立場では有りませんが、ずっと守ってきたリーディング2位以内の座も、自身の産駒の活躍により今年は退くことが濃厚ですし、これを一つの節目として、ゆっくりした余生を過ごして欲しいという思いが、個人的には強いです。

 

2頭目は、同じく休養中のディープインパクト。

 

 

今シーズンの種付け中止は、あくまで来年以降を見据えて大事をとっただけとのことで、もうすっかり元気でいるようです。

ダノンプレミアムという、古馬になってからも輝きが増している産駒が出て来たことから、最優良後継種牡馬としての期待が急激に高まっている昨今ですが、同馬はタイプ的には母系のデインヒルクロスが強く出た筋肉質の馬体で、走るディープ産駒ですが、らしくないディープ産駒でもあります。

 

近代競馬は、馬格が小さい牡馬はどうしても不利になりやすい傾向が強まっていますし、そのことから、ディープの配合もそれを意識したものになっていますが、自身に似た産駒の出現を、個人的には楽しみに待っています。

 

3頭目は、新種牡馬で、昨冬には見学できなかったマインドユアビスケット。

 


 

 

ドバイでの豪脚が未だに忘れられない同馬。

 

ドレフォンに続いた、社台SSダート短距離界のエース級種牡馬となりますが、デピュティミニスター、ラーイ(グロリアスソング)と、ディープやカナロア等、サンデー系、キンカメ系と相性の良い血が盛り沢山の血統ですから、配合次第では芝馬も出るでしょうし、フレンチデピュティやクロフネが担ったように、飽和状態であるサンデー系、キンカメ系肌の繁殖牝馬にとって、ワンクッションを置く良い緩衝材となるのではないでしょうか。

 

最後は、事務所近くの馬房にいる、この馬。

 


 

21歳となったクロフネです。

 

一気に種付け数が減った去年でも100頭以上につけており、価格もプライベートとなった今年も、まだまだ需要がある同馬。

エメラルファイトやビーチサンバの活躍を見れば納得ですし、非サンデーで、しかも、これだけ古い種牡馬が、未だに現代のスピード競馬に父としても適用し、母父としては、頑丈さとパワーを補填するのですから、本当に凄い馬です。

 

ただ、馬体を見ると、元々が筋肉の鎧をまとったような好馬体は影を潜め、流石に年齢を感じさせるようになりました。

 

マイペースな性格も、いよいよ極まってきているようで、一点で牧草を食べ始めると、何が有っても動じることなく、ずっと同じ位置から動かないこともあるようで、この日も、駐車場到着時から帰るまで、同じ位置でずっと食んでいました。

 

芦毛の怪物は、今や穏やかな好々爺になりつつ有ります。

どうかこれからも元気に過ごしてくれたらと思います。

 

以上が社台SSの見学記となります。

次からは、2歳馬4頭について、1頭1頭触れたいと思います。