その前に・・・
メニューバーの[形式] → [寸法スタイル管理]で
寸法スタイル管理ダイアログ(DIMSTYLEコマンド)を開きます。

寸法線は、"寸法スタイル管理"にて設定されています。

この寸法スタイル管理で設定されている項目は
寸法の"システム変数"に格納されています。
ここで、ヘルプで"システム変数"を検索すると
「特定のコマンドの動作をコントロールする設定です。」
と、記述されています。
通常使用する、COPY(複写)やROTATE(回転)等のコマンドは
「AutoCADの画面上で操作する動作」
のコトで、ここで言うシステム変数とは・・・
「動作環境やコマンドの設定値が格納される所」
です。
例えば、寸法スタイル管理等で設定した
寸法線の色や寸法矢印のサイズや寸法値の文字の高さ等も
システム変数に格納されています。
システム変数には様々な種類が有りますが
寸法に関するシステム変数やコマンドは、簡単に分かります。
AutoCADのヘルプを開き、"DIM"で検索してみて下さい。

先頭にDIMが付いているコマンドやシステム変数は
全て寸法に関するものです。
全てを覚える必要は有りませんが、知っておくと便利です。
では、寸法の"矢印サイズ"を編集するマクロを作ってみましょう。
ヘルプで検索すると、"矢印サイズ"のシステム変数は
DIMASZ です。
DIMASZとコマンドラインに打ってエンターを押すと
コマンド: dimasz
DIMASZ の新しい値を入力 <2.500>: ※設定値によって値が違います
この様に表示されます。
< >内は、現在の設定値です。
この値を変更すると、終了します。
コマンド: dimasz
DIMASZ の新しい値を入力 <2.5000>: 5
ここで、寸法スタイル管理を開いてみるとみると・・・

"スタイルを上書き"と言う項目が追加されていますね。
寸法スタイル管理ダイアログを使用せず、寸法のシステム変数を変更すると
"スタイルを上書き"が追加されてしまいます。
これは仕様上、現状の寸法スタイルを変更せず
別として、上書きされた寸法スタイルを作成してしまいます。
※寸法スタイル管理の[上書き]は"上書き保存"とは意味が違います。
マクロを実行する度、この"スタイルを上書き"を何個も作成したくは有りませんね。
では、この場合どうするかと言いますと
"DIMOVERRIDE"[寸法スタイル上書き]コマンド
を使用します。
この[寸法スタイル上書き]も
少し意味合いが違うので混乱してしまいがちですが・・・^^;
1)では早速、DIMOVERRIDEコマンドを実行してみると
コマンド: dimoverride
上書きする寸法スタイル変数名を入力 または [上書きをクリア(C)]:
2)ここで、矢印サイズのシステム変数"DIMASZ"を入力し、エンターを押すと
コマンド: dimoverride
上書きする寸法スタイル変数名を入力 または [上書きをクリア(C)]: dimasz
寸法スタイル変数の新しい値を入力 <2.5000>:
3)新しい値を入力と出ますので、数値を変更してみます。
コマンド: dimoverride
上書きする寸法スタイル変数名を入力 または [上書きをクリア(C)]: dimasz
寸法スタイル変数の新しい値を入力 <2.5000>: 5
上書きする寸法スタイル変数名を入力:
4)ここで、今回は他のシステム変数を変更しないのでエンターを押します。
コマンド: DIMOVERRIDE
上書きする寸法スタイル変数名を入力 または [上書きをクリア(C)]: dimasz
寸法スタイル変数の新しい値を入力 <2.5000>: 5
上書きする寸法スタイル変数名を入力:
オブジェクトを選択:
5)すると、"オブジェクトを選択"と出ますので、寸法を選択してみると
選択した寸法の、矢印サイズが変更されます。
その後、寸法スタイル管理ダイアログを開いてみても・・・

"スタイルを上書き"は表示されていませんね。
このDIMOVERRIDEコマンドは、寸法スタイル管理の設定を変更するのでは無く
選択した寸法オブジェクト自体のプロパティを変更するコマンドです。
上記の動作をマクロにすると・・・
^C^C_dimoverride;dimasz;\;\
となります。
※ちなみに、引出線の編集も同じです。
DIMOVERRIDEコマンドの使い方は、覚えておきましょう。
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