追悼・松方弘樹さん | 劇団とっても便利のブログ2.0

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松方弘樹さんの訃報に接し、つつしんで哀悼の意を捧げます。

劇団とっても便利製作の映画『太秦ライムライト』で、大変お世話になりました。僭越ながら劇団を代表して、『太秦ライムライト』プロデューサーでもある大野裕之の追悼文を掲載いたします。

松方弘樹さん、
『太秦ライムライト』撮影初日に台詞の変更をプリントアウトした紙を持って、あなたのメイク室にお邪魔しました。直前の変更で怒られるのではないかと恐縮していました。メイク室の松方さんは、ガムを噛みながら、開口一番「本当にいい本だね」と満面の笑みでおっしゃってくださり、よけいに恐縮しました。変更箇所の紙を持って「これを言えばいいの?」「はい、お願いします」・・じっと見たときの集中力に圧倒されました。
そのあと、中島貞夫監督と一緒に俳優会館からセットまで歩きました。「中島監督、なんで杖なんかついてるんですか」「転ばぬ先の杖だよ」と冗談を言いながら。セットの前では東映剣会のメンバーが勢ぞろいしていました。久しぶりのチャンバラでしたので、すごい熱気でした。あの時に、撮影所とはどういう場所か、東映京都とは何かを学びました。
撮影が始まって、あなたの殺陣を見て震えました。あなたのチャンバラには誰も刃が立ちません。豪快さ、スピード、形のかっこよさ、すべてが最高で、キャメラの後ろで熱狂してみました。
完成した映画をお送りすると、思いがけずお電話をくださいました。「いいシャシンだね」。そうそう、劇中の台詞でも「いい映画にしたいね」という台詞を、松方さんは「シャシン」と読まれましたね。「シャシン」という言葉が様になるスターさん。しびれました。
一緒にお食事もさせていただき、いろんな話をしてくださいました。時代劇の全盛期の思い出話より、これからのプロジェクトの話が多かったです。もっとご一緒して恩返しがしかった。
私たちはあなたとご一緒できて光栄でした。あなたは『太秦ライムライト』をホンモノの写真にして下さいました。本当にありがとうございました。
『太秦ライムライト』
プロデューサー 劇団とっても便利 大野裕之
太秦ライムライトオフィシャルサイト