3「朝の時間が喜びに」
小学生に上がって、君が休み時間に顔を出してくれるのが
当たり前になり、気がつくともう小学4年生になっていた。
僕は毎朝、君と一緒に同じ時間、同じ道を
歩いて登校していた。
でも、新学期からこの当たり前も変わる。
君が中学生になったから・・・
中学校は小学校とは真逆の方向にあるため
一緒に通うことはできないのだ。
最初の頃は、家を出る時間が同じぐらいだったため、
すれ違う時に多少話すことができた。
しかし、中学生は部活や勉強で忙しいのか、
日が経つにつれ家を出る時間が早くなった。
すれ違う場所がどんどん僕の家に近くになり、
最近では家を出ると
もう君は僕の家を通りすぎてしまっている。
僕も少し早く家を出ようとしたが、
会ったら君は話しかけてくるだろう。
そうすると、君が早く家を出てる意味がなくなってしまうし、
僕のせいで遅くなってしまうのも嫌だったのでやめた。
数ヶ月たち、朝、君が横にいないことは、
違和感を感じつつも慣れてきた。
しかし、休み時間に君が来ないことだけは
どうしても慣れることができなかった。
会えるのが数十分でも、数分でも
君が来てくれることが嬉しかった。
しかし、もう君は来ない。
すぐに慣れるだろうと思っていたが
半年ったった今でも慣れる兆しはない。
勉強したり、友達と遊んだりして
気を紛らわせようとしたが、頭のどこかで
君のことを考えてしまい集中できなかった。
教室の前で君のことを考えながら待っていることもあった。
来ないことが分かっていても、待つことで気を落ち着かせた。
そんなことが日課になっていたある冬の朝・・・
「ギルー!!!!」
外から僕の名前を呼ぶ声がした。
「・・・この声は・・・??」
僕は急いでベッドから起き上がり窓の外を見ると
君が笑顔でこっちを見ながら笑っていた。
「どうしたの・・・?」
僕はアカリ姉に問いかける
すると君は
「久しぶりにギルの顔見たくなって・・・!・・・久しぶり!!」
と言いながら目を細めて笑う。
僕は嬉しくてニヤける顔を隠しながら、勇気を出して
「僕もアカリ姉の顔・・・見たかったよ・・・」
と言った。
すると、アカリ姉は嬉しそうに言った。
「じゃあこれから毎日呼んじゃおうかなあ~!」
そんなアカリに対して
「・・・勝手にすればいいだろう」
と、素直になれない自分に腹が立ったが、
アカリ姉がニヤニヤしてるので、きっと明日の朝も
名前を呼んでくれるのだろう。
次の日から、朝、アカリ姉が僕の名前を呼んで
挨拶を交わすのが定着した。
教室の前で来ない君を待っている日課から、
部屋で僕の名前を呼ぶ君を待つ日課に変わった。
