タイトル:老人と海

著者:ヘミングウェイ

訳者:福田恆存

発行:新潮社

発行日:1966(昭和41年)年6月15日

 

 

 

 

 

あらすじ 

キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁期間が続いていた。

たった一人、彼を慕ってくれる少年マノーリンに見送られ、彼は今日もめげずに小舟に乗り出漁する。

そんなある日、彼のかけた綱に魚がかかった。

どうやら大魚のようだ。これは一筋縄ではいかない。

底をつきかけた水と食料。

限界を迎える体力の中、老人は大魚を吊り上げるべく格闘する―――

徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。

 

 

ヘミングウェイの代表作として名高い本作。

各国で映画化され、近年ではヨルシカが本作をモチーフに『老人と海』という曲を発表した。

 

 

 

 

面白かったね!

全体的な内容として、9割は老人が水中の大魚と闘っているだけなんだけれど、

大海でたった一人、誰にも頼れず孤軍奮闘している姿に、非常に勇気づけられた。

飲み水もなければ道具も足りず、幾度のピンチに命の危険が迫る。

一歩間違えれば、すぐそこに死の気配。

 

漁師って大変な仕事だなぁ・・・

 

 

 

P54

老人はあたりを見まわし、あたらめて自分の孤独を痛感した。

が、かれは黒々とした深い水のなかに七色のプリズムをのぞき見ることができた。

それに目の前には綱がまっすぐ伸びており、しずまりかえった海洋の不気味なうねりが見てとれる。

貿易風にともなって雲がむくむく立ち昇りはじめた。

ふと、頭上を見ると野鴨の一群が、空にくっきりその形を刻みこんだような影を見せて水の上を渡っていく。

一瞬影が薄くなる。が、つぎの瞬間にはふたたびくっきりした形をとる。

海の上に孤独はない、と老人はつくづくおもった。

 

本作で、個人的にとても好きな表現。

大魚と闘うサンチャゴは孤軍だけれど、その海には他にも魚がいて、空には鳥がいる。

 

 

P56

ものすごくでかいやつだ。

だが、やつに思い知らせてやらなければならない、とかれはおもった。

おれは、あいつを思いあがらせてなどやるものか、その気になればなんとかなるなどと思わせてやるものか。

もしおれがあいつだったら、あらゆる手だてを講じて、最後までがんばってみせる。

が、ありがたいことに、やつらは、やつらを殺すおれたち人間ほど頭がよくないんだ。

もっともおれたちよりは、気高くて、りっぱじゃあるけどな。

 

サンチャゴは決して綱にひっかかった魚を侮らなかったし、始終尊敬の念を称えていた。

友や仲間のように思っていた。

 

 

 

P93

「けれど、人間は負けるようには造られていないんだ」とかれは声に出していった。

「そりゃ、人間は殺されるかもしれない、けれど負けはしないんだぞ」

 

不漁期間が長く、どうにも港の人間とも上手くいっていなさそうなサンチャゴだが、

誇り高い信念をもった人物だ。

 

 

 

P99-100

鮫はずるりとすべり落ちた。

老人は頭から呪いのことばを浴びせかける。

「あばよ、ガラノー、海の底まで一マイルの旅だ。友だちによろしくな。

それともあれはおっかさんだったのかい」

 

おお!アメリカンな言い回し!!!

格好いいな!!

こういうの好きだわ~

 

 

本作の中で、2、3度サンチャゴの見る夢の話が出てくる。

アフリカ大陸のライオンの夢。

 

作中では結局明かされることはなかったが、

サンチャゴにとって『ライオン』が重要な位置付けなのは間違いない。

インターネットで様々な人がこの『ライオン』について考察しているので、是非本作を読んだ後に考察してほしい。

皆の考察を読んで、なるほどなぁ~って思った。

 

 

 

TOP画は以下からお借りしました!

漁師町の朝 - No: 22966619|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK (photo-ac.com)

 

夜型人間だから、朝日が昇ったら眠くなる・・・・