タイトル:ノルウェイの森(上下)
著者:村上春樹
発行:講談社文庫
発行日:2004年9月15日
村上春樹の作品を読むのは、これで2度目。
初めて手に取った騎士団長殺しの時にはわからなかった、『村上春樹らしさ』というのが、よくわかった。
この作品が彼の代表作なのだから、つまり、『らしさ』は少なからずあるはずで。
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いろんな作品のレビューを読んだけれど、村上さんの作品は本当に賛否両論。
どこかのサイトでみた、
『この世界には、村上春樹が読める人間と、読めない人間がいる』という表現。
この表現はしっくり来た。そして私は、残念ながら後者だった。
仕方ないよね。
万人受けする作品なんて中途半端だし、そんなのは個性がないのと一緒だものね・・・
暗喩や意味深な記載の多かった騎士団長殺しに比べれば、量も文庫本2冊分と半分で、さらっと読める。
村上さんの特徴は、難しい日本語を使わないで風景や心情を、淡々と記している部分だなと改めて思った。
そして卑猥。はっきり言って気分が悪くなる嫌悪感ですわ。嫌悪感ですわ。
(村上さんが好きな人、ごめんな)
上P288
「私を理解して、それでどうなるの?」
「ねえ、君はわかってない」と僕は言った。
「どうなるかといった問題ではないんだよ、これは。
世の中には時刻表を調べるのが好きで一日中時刻表読んでる人がいる。
あるいはマッチ棒をつなぎあわせて長さ一メートルの船を作ろうとする人だっている。
だから世の中に君のことを理解しようとする人間が一人くらいいたっておかしくないだろう?」
下P63
「ねえワタナベ君、英語の仮定法現在と仮定法過去の違いをきちんと説明できる?」と突然僕に質問した。
「できると思うよ」と僕は言った。
「ちょっと訊きたいんだけれど、そういうのが日常生活の中で何か役に立ってる?」
「日常生活の中で何かの役に立つということはあまりないね」と僕は言った。
「でも具体的に何かの役に立つというよりは、そういうのは物事をより系統的い捉えるための訓練になるんだと僕は思っているけれど」
喋り言葉を「けど」ではなく「けれど」って丁寧に表現するの、すごく好き。
下P175
ベッドのわきには旅行鞄がそのまま置かれ、白いコートが椅子の背にかけてあった。
机の上はきちんと整理され、その前の壁にはスヌーピーのカレンダーがかかっていた。
僕は窓のカーテンを少し開けて、人気のない商店街を見下ろした。
どの店もシャッターを閉ざし、酒屋の前に並んだ自動販売機だけが身をすくめるようにしてじっと夜明けを待っていた。
長距離トラックのタイヤのうなりがときおり重々しくあたりの空気を震わせていた。
僕は台所に戻ってブランディ―をもう一杯飲み、そして「車輪の下」を読み続けた。
ここの風景描写は、なんてことのない場面だけれど、すごく印象に残った。
夜明け前の、少し霧の立ち込めたような、肌寒い朝の空気が容易に想像できる。
読者にいろいろな解釈を委ねるのが、村上さんは非常に上手。
下P189
「自分に同情するな」と彼は言った。
「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」
「覚えておきましょう」と僕は言った。
そして我々は握手をして別れた。
彼は新しい世界へ、僕は自分のぬかるみへと戻っていった。
男女間の諸事の描写がなければ、きっともう少しちゃんと読めたのだろうけど・・・
私はギブアップ。
TOP画は映画『ノルウェイの森』でロケ地として使用された砥峰高原で撮影された画像です。
下記からお借りしました!
ススキ 【砥峰高原】 その4 - No: 4609759|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK (photo-ac.com)
秋って、物悲しい気分になるよねぇ・・・
食べ物美味しいから、体重計に乗るのが怖くなる季節。